「法律が追い付いていない部分がある」伊藤詩織さん会見7月20日(本文2)
時間の重みをどう受け止めているのか
毎日新聞:毎日新聞の宇多川と申します。今日はありがとうございます。伊藤さんに2つお伺いなんですけれども、1つは、今少しお話もあったんですけれども、被害から7年、訴訟提起から5年という、その時間の長さ、時間の重みというものをどのように受け止めていらっしゃるかという点と、あともう1点、今回の最高裁の決断が進むべき方向を示しているものではないと思うというお話が先ほどありましたけれども、これは弁護士の方々からもお話があった、反訴の一部が認容されたという点においてという理解で良いのか、その2点をお伺いできますでしょうか。 伊藤:まず2番目の質問からお答えしたいと思うんですけど、そうですね、主に被害を語った中で、主には私が『Black Box』の中で、これはここで言っていいのかな、部分、これからたぶん削ることになってしまうと思うんですけど、アメリカのサイトで見たデート・レイプ・ドラッグに、自分の症状とすごく似ていた、しかし確証はないっていうところを本人は書いていたのに、やっぱりその一部が名誉毀損に当たってしまうというところ。名誉毀損? プライバシー侵害? 名誉毀損。ていうところは本当に、自分に起きたかもしれないというところを、確証がないと書きながら、ただ疑っても警察で調べてくれなかったっていう範囲も書きながら自分の経験としてやはり語ったことなので、それが話せないような、話してはいけないこととして、もしくは、そうですよねっていうふうに取られたっていうのは本当に、今後どういうふうにじゃあ自分の受けた被害を語っていけばいいのかってすごく感じたところです。
時間については本当に言葉で語れない
本訴に対しては、正直なところ、まだまだ海外と比べると、やはりもちろん民事っていうのは賠償金で争うものですが、やはりその間に掛かってしまった弁護士費用であったり医療費であったりというような、とうていこの提示された金額ではカバーできるものではありません。なので、そういったところも含めて、本当にこの民事裁判を起こしていろいろなことが分かったり、刑事裁判では出てこなかった証言であったりっていうのをオープンにできたっていうところは本当に有意義だったなと思うんですけれども、なかなか踏み出すにすごく壁のある、そして負担の大きい作業だなということも再度感じ、お2人にお願いしている名誉毀損の中でも、その中で勝訴したとしても、あちらから支払いがないっていうこともあったりするので、いったい、プロセスであったりだとか法の今の在り方っていうところを知るものにはなったけれども、当事者として、じゃあっていうところには、本当にあまりにも負担が大きいことだと思います。ごめんなさい、最初の質問はなんでしたっけ。すみません。 毎日新聞:時間が長く掛かった、5年、7年という、その年月の重みというものをどう受け止めていらっしゃるのか伺えればと思います。 伊藤:今日、来る道で、当時から一緒に肩を並べてくれた友人が、長かったねって言ったんですよね。ここにもずっと当時から、裁判だったり会見のときに必ず目の、視界に入ってくれる、大丈夫だよって言ってくれる友人もいてくれて、彼女たちがいたから本当に歩いてこれたけれども、自分の中で長かったのか短かったのか、すごく分からなくて。ただ、この間、判決が1月にあったときに、西廣先生と向き合ったときに感じたのは、お話ししたときはたぶん私25歳で、今33歳になって、私、当時はこれがやりたい、あれがやりたいっていっぱいリストを作って、やりたいことがたくさんあって、その中で、自分の計画してなかった、考えてなかったことはたくさんあったなと思いながらも、その中で出会ってきた人であったり、学んだことは多かったので、そこには後悔がないんですけれども、やはり大きな、そうですね、いろいろなことがありました。なんか本当に言葉では語れないですね、時間については。 ただ、本当にここまで、やれるところまでできたっていうのはまったく後悔がなくて。そしてそこまで一緒に声を上げてくださった方がいたっていうことは本当に、どんな判決が出たとしても、たぶんこれから私の生きていく中ですごく大きな支えになると思うので、それに関しては本当に心から感謝しています。 司会:ほか、どなたかいらっしゃいますでしょうか。じゃあ村上さん。 【書き起こし】伊藤詩織さん会見7月20日 全文3に続く