「当事者としての発信はこれっきりにしたい」伊藤詩織さん会見7月20日(本文1)
ジャーナリストの伊藤詩織さんは20日、都内で記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「伊藤詩織さんが会見 性暴力被害で元TBS記者への賠償命令が確定(2022年7月20日)」に対応しております。 【動画】伊藤詩織さんが会見 性暴力被害で元TBS記者への賠償命令が確定(2022年7月20日) ◇ ◇
5年間闘ってきた民事裁判が1つの区切り
司会:最初に伊藤から、被害に遭ってから7年と、あと裁判を起こしてから5年がたつということで振り返ってというお話をさせていただいて、続けて、今回の裁判、最初から5年間、伊藤とずっと闘ってくださった西廣陽子先生からの振り返りのお話をさせていただきます。続けて佃克彦先生と山口元一先生から今回の判決についてということでお話をいただきます。で、皆さまからのご質問をお受けしたいと思いますが、すいません、1点だけお願いがあるんですけれども、毎回お願いしてますが、被害を本人が思い出すようなご質問はちょっとご配慮いただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。じゃあ始めさせていただきます。 伊藤:おはようございます。あ、すいません。おはようございます。このたび最高裁からの判決、判決じゃないですね、判断が最終的に出まして、報道と出たよりは、私たちの元には数日遅れでその内容を示してある用紙が届いたんですけれども、このたび5年間闘ってきた民事裁判が1つの区切りを迎えることになりました。
一緒に歩んできてくださった先生方にお礼を言いたい
私にとっては、被害を受けてから7年間の年月が振り返ると過ぎていました。今日どこから振り返ろうか、何を皆さんに本当にシェアできるか、いろいろ考えていたんですけど、なかなかきのうもよく眠れずに、今日も5時に朝、目が覚めてしまって、お散歩に出掛けながら考えていたんですけど、振り返ってみると、5年前の初めて公でお話しするときの朝ですね。私はその当時、友人のおうちに泊めさせていただいていて、いろいろなことに恐怖を感じたり不安に思いながら、被害直後もお世話してくださった友人の元にいたんですけど、その日も友人の家から旅立ったんですけど、朝いなくなった私を見て、家に帰ってきたら真っ青な顔で、もう勝手にどこか行かないでって怒られたのを思い出したんですよね。そしてさっきその話を友人にしたら、もうあのときは、詩織はいつも、もう駄目だ、もう駄目だって言って、本当にいついなくなっちゃうか分からなかったんだよって言われて、本当に周りに迷惑を掛けてきたな、そして本当にこの長い時間お世話になってきたんだなと思いました。 公で自分の性被害について語るということは家族からも反対されましたし、いろいろな溝が周囲とできてしまった出来事でもありました。5年前の朝、歩いたときは、私の中でも初めて公で語るということは、どこかもうその前の生活に戻れない気がして、どこか自分の中でいろいろなさようならを言っている気持ちがよみがえってきました。そんな中、5年間こうやっていろいろな気持ちを整理しながら、そのたびそのたび耳を傾けてくださったあの方々に本当に心からお礼を申し上げたいです。そして、ここまで一緒に歩んできてくださった先生方に本当にお礼を言いたいです。 最初に私が弁護士に連絡をしたのはホットラインだったんですよね。そこでなくなった逮捕状を一緒に探してほしいっていう私の無理なお願いをいろいろな方が断っていく中で、隣にいらっしゃる西廣先生は一緒に警視庁に来てくださいました。そこから私たちの長い旅が始まって、いろいろな疑問を抱えながら、それもいろいろなところでぶつけ、中には答えが返ってこないこともありましたが、ここまでくることができました。 当時会見をした大きな目的というのが、やはり日本の刑法の中に同意という言葉が入っていない、同意のない性交はレイプではないということにすごく疑問を感じて、私も当事者になるまでその事実というのをまったく理解していなかったので、今の法の現状というものを。なので、そこを変えてほしいという、少しでもそこの扉を開けることができたらと思う気持ちで、公でお話ししました。