【ABC特集】家も金も、身寄りもいない…刑務所から出てきた81歳元覚せい剤密売人 「僕らが諦めたら終わり」再犯防ぐため立ち上がった元暴力団員の支援活動に密着
大阪市内にある川中さんが契約しているマンションの部屋に到着。 (川中さん)「カーテンと、そこにテレビ置いてあるからね。布団は買ってきたし。ここにいるのはちょっとの間だけやからね」 (島さん)「は?」 島さんは高齢で聴力も衰えています。これまでに多くの出所者の支援をしてきた川中さんですが、島さんのような80歳を超える人の世話をしたことはなく、高齢者福祉のノウハウがある、どこかの事業所に島さんを任せるしかないと川中さんは思うようになりました。
■出所したその日の夜 島さんが行方不明に
同じ日に満期出所し、ともに川中さんを頼ることになった山下さんと島さん。2人は若い頃、暴力団事務所に出入りしていたといいます。 窃盗を繰り返してきた山下さん。いずれ川中さんのグループホームで支援員として働きたいと考えています。 (山下さん)「俺は絶対にここで挽回するんで」 一方の島さんは約60年間、覚醒剤の密売に関わってきたそうです。過去には11年間服役した経験もあるといいます。 (島さん)「若い頃から(覚醒剤を)扱ってきました。でも俺はいっぺんも自分に打ったことはないんです。どれだけ身を滅ぼすかって分かってるから」 (川中さん)「そうと知ってて覚醒剤をずっと売ってきたんやろ?それは本当に悪いことやで。どんなけの人の人生を狂わせてきたか」 (島さん)「いやあ、それは・・・」
出所してきたその日の夜のこと。不測の事態が起きました。慌てた様子で川中さんのもとにやってきた山下さん。 (山下さん)「島さん、部屋にいないです!どこ行ったんやろ?」 川中さんは急いで島さんの部屋に入ると靴がありません。島さんが行方不明になりました。 (川中さん)「この辺にいてるんやったら帰ってくるやろうけど・・・。身分証明も何もないし・・・。困ったなあ」 諦めかけたその時でした。 (山下さん)「道に迷ってた。警察官といてたから、話しかけたら『お知り合いですか?』って言われて引き渡された」 低血糖の症状があり、インスリンを自己注射している島さんは、夜になると甘い物を無理にでも摂りたくなると言います。この夜もジュースを買いに外に出たところで帰り道が分からなくなり、知らない街をさまよっていたといいます。 (川中さん)「この辺のことわからんやろうから、あんまりウロウロせんようにね。ほんまによかったわ…」
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