【ABC特集】「家がない」「性犯罪に巻き込まれた」・・・悲痛なSOSに向き合う不動産会社の女性社長に密着 居住支援の“いま”
世帯人数が1人の「単独世帯」がく全体の4割に達しようとしている日本。いま、所得が少ない、保証人が立てられない、高齢であることなどを理由に賃貸物件を借りられない人が増え続けています。そんな、住まいを失う” 危機”に直面した人たちに手を差しのべている、大阪のある不動産会社の女性社長に密着しました。
大阪府交野(かたの)市の静かな住宅街にその店はあります。不動産仲介大手エイブルのフランチャイズ店舗「エイブルネットワーク交野店」。この店を運営しているのは従業員7人の不動産会社「啓友(けいゆう)エステート」です。社長は上山登子(うえやま・たかこ)さん(47)。 物件紹介に奔走する毎日ですが、上山さんたちがいま力を入れているのは、「家を失う危機」に直面した人たちへの支援です。 (上山社長)「ここでございます。うちのお店。どうぞ~」 (女性)「ありがとうございます」
8月中旬、社長の上山さんはある女性を伴って店にやってきました。女性は30代。元々は大阪府内の住宅で両親と3人暮らし。自身は長く「ひきこもり」の生活を続けていたといいます。ところが、頼りにしていた母親が―。 (30代女性) 「お母さんが(去年)10月に大動脈解離っていう病気で…。10分前まで元気だったのに・・・。生きているのがしんどくって。朝起きたらまた今日も生きてるんやみたいな。そういうときにお父さんから(今年)10月頃に家売って引っ越そうと思うから、それまでに出ていってほしいって言われて」
いつも家族の中心にいたのは母親だったと言います。その母が突然亡くなり、父と娘はそれぞれの生き方を選ぶことになりました。それでも女性には、家の借り方が分かりません。悩んだ末、この夏に市の相談支援センターに助けを求め、紹介されたのが上山さんでした。 女性には家を借りるにあたっての保証人になってくれる人もいませんでしたが、上山さんが保証人となったことで、無事に物件が見つかりました。生活保護を受けながら暮らしを立て直すことになったのです。 (30代女性) 「今までは1年後とか2年後とか考えられなかったけれど、もしかしたら2年後3年後とか、働けてるかもしれへんとか。だから楽しみです」 (上山社長) 「その人にもお父さん、お母さんがいて、きょうだいがいる。亡くなってらっしゃるかもしれないけど、本当に愛されていて、誰かの大切な人。周りの背景を見ながら接すると、ちゃんと丁寧に接することができる。その思いでやっています」
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