【ABC特集】家も金も、身寄りもいない…刑務所から出てきた81歳元覚せい剤密売人 「僕らが諦めたら終わり」再犯防ぐため立ち上がった元暴力団員の支援活動に密着
■出所者であり健康不安も抱える人の受け皿は・・・
行方不明騒ぎから2日後。川中さんは山下さんと一緒に、島さんをある場所へ連れて行くことにしました。 (車内の山下さん)「こんなん言うたらあれやけど、ある意味、島さんみたいな人らは懲役が一番ええんちゃうかなと・・・」 (川中さん)「(刑務所で)型が出来上がっているからね。なかなか社会に適合していこうと思っても難しいところが実際あんねん」 (山下さん)「刑務所も最後まで面倒見てくれへんのでしょうか。出るときに役所の人間が来たりとか」 (川中さん)「そこがないのね」
着いた先は、大阪市旭区にあるNPO法人「ぴあらいふ」。刑務所出所者で知的障害や精神疾患がある人のケアなどに豊富な実績があるこのNPOには、川中さんも日頃から支援のあり方などで相談に乗ってもらっています。「ぴあらいふ」を運営する中岸宏隆さん・真実さん夫妻に島さんの話を聞いてもらおうと、ここに来たのです。 島さんの健康状態など確認した中岸さんは、各地の福祉事業所に島さんの受け入れをしてもらえないか問い合わせを始めます。その中で、堺市の事業者が「受け入れたい」と返事をくれました。島さんはここで、川中さんの手を離れることになりました。 (川中さん)「がんばってね」 (島さん)「はい、ありがとうございました」
また、新たな住まいに向けて出発です。車で堺市の事業所に連れて行くのは、ぴあらいふスタッフの池田和彦さん。 (ぴあらいふ・池田さん)「犯罪を何もしない生活にどう戻していけるか。本人の自覚とかみ合わないといけないんですよね。いくらわれわれだけ頑張ってもだめなんです」
着いたのは高齢者向けマンション。運営する障害者福祉サービス会社「FINE」の柳田栄吾社長が、島さんらを迎えてくれました。 (柳田社長)「熱中症になったらあかんよ。夜でも熱中症になるからね。生活に必要な物が他にないか、見ておきますね」 (島さん)「はい、ありがとうございます」 出所から3日後、たくさんの福祉関係者の手を借りて、81歳の島さんにようやく落ち着ける住まいが見つかりました。
【関連記事】
- ▶「行くとこなかったら死ななあかん」「けんもほろろに断られる」住む家が借りられない高齢者 深刻化する“貸し渋り”の実態<前編>【ABC特集】
- ▶【寒くなるこれから要注意】まさか自分が…47歳報道記者が脳梗塞になった話 突然症状が出たあの日あの時から、回復期の減塩生活までの一部始終 前編
- ▶「元の身体に戻して」終わりの見えない健康被害…小林製薬“紅麹サプリ”問題 補償の実態は【ABC特集】
- ▶「本当は大地と一緒にやりたかった」病気の子ども支える“レモネードスタンド” 13歳小児がんの弟を失って5日…兄が闘病仲間らとチャリティー実現【ABC特集】
- ▶「家がない」「性犯罪に巻き込まれた」・・・悲痛なSOSに向き合う不動産会社の女性社長に密着 居住支援の“いま”【ABC特集】