「地元1位→桜蔭」浪人で変化した彼女の価値観。勉強できることに価値があると思っていたが
歯学科は地方から来てる子が多くて、自由にやりたいことを求める空気感がありました。桜蔭にいた私にとっては、『勉強ができることが正義』だったのですが、そうじゃなくて、本当に自分がやりたいことを考えるべきだと思ったのです。 その過程で、医学科の子から将来の夢やキャリアプランについて聞くうちに、患者さんと接しながら、自分の力で、人の人生に喜びや幸せを届けることができる医師の仕事により興味を抱いたのです。
医師は患者さんの人生によりダイレクトに関われて、もしかしたらその人の人生を変えるきっかけになれるかもしれない、走馬灯に出てくるほどにその人に影響を与えられる可能性がある仕事だと感じるようになりました」 ■浪人生活でも家族や友人との時間を大事に 必死に受験勉強をする機会を終えて、改めて「自分のやりたいことのために頑張ろう」と思ったこともスイッチが入るきっかけとなったゆゆきちさん。大学を休学することを決め、河合塾に籍を置き、夏から受験勉強をスタートします。
河合塾の先生や、鉄緑会でお世話になった先生に相談に乗ってもらいながら受験勉強を続けたゆゆきちさんは、10月には志望する大学も決定。通っていた東京医科歯科大学の医学部医学科に設定しました。 東京医科歯科大学の医学部医学科は、医学部医学科の中でも極めて難しく、東大理3に次ぐ難関とも言われます。しかし、ゆゆきちさんは根を詰めて勉強をしたわけではなかったそうです。 「自分の中で明確に医師を目指すとは決めましたが、そこまで追い込んで勉強をしたわけではありません。1日4時間くらいを欠かさず継続的にやるようにはしつつ、今までずっと勉強ばかりの人生で、家族と過ごせなかったので、家族や友達との時間を大事にしていました」
勉強ができることに価値を見いだすのではなく、自分がやりたいことを大事にする、そうした姿勢は受験に向かう自身のプレッシャーも軽減してくれたようです。 秋の模試では東京大学の理科3類でもA判定をとれたものの、自分の学校に愛着があったことと、一か八かの賭けが怖かったために志望大学と学部を変える決断はしませんでした。 共通テスト前に受験した防衛医科大学校に合格し、医学部への道を確定させたゆゆきちさんは、共通テストでも前年を上回る804/900点を記録し、無事東京医科歯科大学の医学部医学科に合格することができました。