国際大会で絶賛された“優勝パエリア”が東京で楽しめる穴場店とは!?
2012年に「よりよい環境とサービス」を求めて阿佐谷に移転し、その際に「その角曲がる」から「anocado restaurante+」に店名を一新。外観はカラフルなエメラルドグリーン、オープンキッチンの奥にガラス窓をはめこんだ珍しい造りが、開放的で楽しげな雰囲気を生み出している。「最寄り駅のない場所でわざわざ足を運んでもらえる店をつくりたかった」と話すのはオーナーシェフの結城優さん。カウンターには自社で輸入しているハモンイベリコがどんと鎮座。ショーケースに並べられたタパスも食いしん坊の心を引きつける。
パエリアの本場・スペインの大会で何度も優勝した、店主の熱き思いとは?
学生の頃からパンクバンドのメンバーとして活動しながら、レストランでのアルバイトにも精を出していた結城シェフは、高円寺の多様性や町の大らかで自由な空気感に長く魅了されてきた。バンド解散後は和食店やスペインレストランでの修業を経て、愛着のある高円寺に自身の店をオープン。2012年に現在の場所に移転する際「わざわざでも足を運んでもらえる場所に」という思いを持ちながら、同エリアから離れすぎない立地を選んだのは結城シェフにとって、自分の理想とする古典的なスペイン料理を深掘りするのにもっとも適しているのはここしかない、という直感が働いたからかもしれない。
そして、結城シェフを語る上で欠かせないのが、スペイン料理の代表格とも言えるパエリアに注ぐ情熱だ。「日本で国際パエリアコンクールの予選大会が始まったのは2014年。わりと自信はあったのですが、2014年もその翌年も残念ながら予選敗退でした。パエリアって、語源はpara ella(彼女のために)という意味から来ていて、スペインでは男の料理と言われているんです。伝統を大切にしながら、レストランでも家庭でも作る人がそれぞれのこだわりを持っている。生活の中心にあって、人と人との交流を担う大切な食文化。パエリアのそういう部分に強く心引かれたのだと思います」