なぜ井上尚弥は一夜明け会見で2022年4団体統一&4階級制覇構想と偽らざる心境を激白したのか…「ゾーンに入れなかった」
TKO勝利で防衛に成功したWBA世界バンタム級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(28、大橋)が15日、横浜市内の大橋ジムで一夜明け会見に臨み、心境を激白した。父の真吾トレーナーが「対戦相手に“あっぱれ”をあげたい」というほど、タフだった挑戦者、アラン・ディパエン(30、タイ)に手こずり8回TKO勝利となったが、井上自身も集中力に欠け「ゾーン」に入れなかったという。また本来ならば、この舞台は8月に行われる予定だったWBC世界同級王者、ノニト・ドネア(39、フィリピン)とWBO世界同級王者、ジョンリエル・カシメロ(32、フィリピン)の勝者との4団体統一戦だったことも明かし「来年は夏と秋の2試合がバンタム、暮れにスーパーバンタム」という壮大な4団体統一&4階級制覇のドリームプランをぶちあげた。
挑戦者に“あっぱれ”
前夜は、六本木で新型コロナの感染対策を守った上で、ささやかな祝勝会を開き、自宅に帰宅した。 「わりと眠れたかな」。そう言って王者は一夜会見の席に着いた。 「ほっとした感がある」 ネットニュースのコメントもチェック。「文句は全然なかった」という。 手応えと迷いが交錯する想定外の防錆戦となった。 「この試合が決まったときから(早いラウンドで終わると)感じ、本当にジャブで倒せると思っていた。ディパエンでないとジャブで倒れていた」 米の専門機関「COMPUBOX」の調査によると、井上は557発のパンチを浴びせ201発がヒット。そのうちジャブが310発で89発がヒットしたが、ムエタイ60戦のタフな挑戦者は、化け物のように倒れなかった。 真吾トレーナーは、「想定外。打っても打っても利かない。技術的にはドネア戦、ナルバエス戦、ロドリゲス戦でのいろんなボディを出したが、耐えられた。相手のタフさに尽きる。“あっぱれ”です」と8回まで耐えた挑戦者を称賛した。 井上も、「あまりにタフで面食らった。最後は勝つ気もなくダメージを負いたくないから逃げてサークリング(ぐるぐる回って逃げる)していた。相手も素人じゃない。そこそこキャリアを積んだランキング選手に、あの戦いをされると難しい」と振り返った。 しかも時折ではあるが反撃も試みてきた。 「意外とパンチはあった。強引に行けば倒せるとも思ったが、7回くらいまではパンチが死んでいなかった。まともにもらったら危険と感じるほど拳が硬かった」 それがまた厄介だった。