急転大晦日リングへ…統一戦中止の4階級制覇王者井岡一翔に“アジア最強王者“との大晦日代替世界戦プランが急浮上!
ボクシングの4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32、志成)が大晦日に大田区総合体育館で、対戦相手を国内のWBO同級6位で、日本&WBOアジアパシフィック“2冠”王者である福永亮次(35、角海老宝石)に切り替えて防衛戦を行う方向で進んでいることが10日、明らかになった。 当初、井岡はIBF世界同級王座を9度防衛しているジェルウィン・アンカハス(29、フィリピン)と悲願の統一戦を戦う予定だったが、政府が新型コロナの「オミクロン株」の水際対策として外国人の新規入国を原則禁止したため来日できなくなり「中止」となった。 陣営は、アンカハスとのスケジュールの再調整を最優先に交渉を行っているが、4月に行った9度目の防衛戦以来、試合から遠ざかっているアンカハス側は、できる限り早く次戦のリングに上がることを求めており、再交渉過程で、井岡との統一戦の前に10度目の防衛戦を挟みたいとの意向を示したという。世界的に拡大している「オミクロン株」の先行きが不透明で、まだ井岡との統一戦の日時を正確に固めることができないという背景もある。そうなれば井岡とアンカハスの統一戦は、早くとも来春以降にずれこむことになるため、井岡も大晦日に統一戦から防衛戦に切り替えて世界戦を行う選択肢が急浮上してきたのだ。 加えて井岡ーアンカハス戦を地上波で生中継する予定だったTBSサイドの事情もある。井岡は、これが10度目の大晦日マッチ。すべてTBSが中継してきたが、過去の大晦日の視聴率戦争の中で、井岡が確実に数字を取ってきたという実績がある。TBSサイドは、新型コロナ禍で開催される世界戦だけに、最悪のケースを想定して、いわゆる雨傘番組とされる代替え番組を用意していたというが、局としては大晦日のキラーコンテンツである井岡の登場を簡単には、あきらめきれないという側面があった。 WBOは新型コロナの特殊な状況を考慮し、9月の防衛戦でも、オフィシャル、レフェリー、ジャッジをすべて日本にいるメンバーで揃えて防衛戦を行うことを認めており、もし国内ボクサーを挑戦者に迎えるのであれば、大晦日に防衛戦を行うことは可能であり、しかもラッキーなことに国内に井岡への挑戦権のある世界ランカーが存在していた。 WBO世界同級6位で、WBOアジアパシフィック、日本の2冠王者である福永で、10月に無敗の梶颯(24、帝拳)を判定で破り、「世界へ行きたい」と井岡との対戦を熱望していた。11月に返上したが、OPBF東洋太平洋のベルトも持っていた事実上のスーパーフライ級の“アジア最強“と呼んでいい元3冠王者。 2013年にデビュー、2016年に全日本新人王を獲得し、昨年2月にWBOアジアパシフィックタイトルを獲得した”遅咲き”だが、19戦15勝(14KO)4敗の高いKO率を誇り、アンカハスと同じサウスポー。パンチがあり、右フックと左ストレートでKOを量産してきた。超攻撃的で激しいボクシングスタイルから“リトルパッキャオ”の異名を持つ。