海外メディアは井上尚弥の“手こずった”8回TKO防衛をどう報じたのか…絶賛に酷評も「衝撃勝利にタイソンも幸せ」
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(28、大橋)が14日、両国国技館でIBF世界同級5位のアラン・ディパエン(タイ)と防衛戦を行い、8ラウンド2分34秒TKO勝利した。スーパー王者のWBAは6度目、IBFは4度目の防衛成功となった。井上は、ジャブ、左右ボディを中心に序盤から山ほどパンチを浴びせて、実力差を見せつけたが、ムエタイ60戦の経験で鍛えられた異常なまでにタフなタイ人を仕留めるのに手こずり、8ラウンドにようやく左フックでロープまで吹き飛ばし、立ち上がってきた挑戦者に再び左フックをお見舞いしてレフェリーがTKOを宣告した。 井上は、試合後「パンチは効いているのか、オレのパンチがないのかとメンタルがやられそうになったほど。判定も頭をよぎった。期待を下回る試合で、すみません」と、反省を口にしたが、今回の防衛戦を海外メディアは、どう評価したのか。
「ファンが期待するレベルの戦いではなかった」
辛口で報じたのは米国の権威ある「リング誌」だ。 「井上がディパエンに8回レフェリーストップ勝ち、谷口がメンデスを番狂わせで倒してタイトル獲得」との見出しを取り、井上のTKO勝利と、WBO世界ミニマム級王座を11回TKO勝利で奪取した谷口将隆(ワタナベ)の試合結果を伝えた。 この試合には井上が保持しているリング誌のベルトもかかっていたが、「30歳(のディパエン)は8回の後半まで何とか耐えたが、彼は、試合を通じて(井上から)過度なむごい仕打ちを受けてすっかり消耗していた。IBF世界5位の挑戦者としてリングに上がったことはばつが悪かった」とレポート。 「28歳の井上は、現在の世界の中で、最も優れたパウンド・フォー・パウンドの1人。このような戦いは、彼自身のレベルから考えると、数段落ちるものだ」と料理に手こずったことを厳しく論じた。 米国のボクシング専門サイトの「ボクシングシーン」は、対照的に好意的な見方で「井上は、長い間、切望してきたスーパーファイトを楽しみに待つことができるかもしれない」と、来春に行われるとされるビッグマッチへつながる勝利だと報じた。 記事は、「国民的英雄が母国に戻ってくることが何よりも大きかった。ディパエンはファンが期待するレベルの戦いからは程遠かった。井上にとって望ましい対戦相手ではなかった」と紹介。 ディパエンが挑戦者に選ばれた背景を「約2年ぶりとなる日本での試合を(井上陣営は)求めていたが、国による新型コロナウイルスの対策も重なり、日本に渡航できる能力の高いランク内の挑戦者は限られていた。このことがディパエンに初の大きなタイトル戦に出る任務を引き受けさせた」と説明した上で「レベルの違いは試合開始のゴングの瞬間から明らかだったが、公平を期して言えば、井上がリングに上がるときはほぼ毎回そうだ」と、井上が終始圧倒していたことを伝えた。