サッカー版の新庄監督になれる?!浦和退団の槙野智章が掲げる「監督になって帰ってくる」の野望…移籍オファー待つ武器とは?
歩んでいく道はいったん離ればなれになるが、浦和へ注ぎ続けてきた槙野の愛は潰えない。以前から公言していた現役引退後にJクラブで監督を務める夢を、タクトを振るう舞台を浦和に限定した上で、槙野はこんな言葉を紡いでいる。 「次の目標として、監督になって帰ってきたいと思っています。あの選手を見たいと思ってスタジアムへ行くファン・サポーターは多いと思いますが、いま新庄剛志さんが野球界を盛り上げているように、あの監督を見にいきたい、あの監督が指揮するチームを見たいと思ってもらえるような監督になって戻ってきたい」 プロ野球の日本ハムの新監督に就任したばかりの状況ながら、奇想天外な指導方法やさまざまな発信を介して、競技の垣根を越えて多くの耳目を集めている新庄氏の名前をあげながら、槙野は監督としてのセカンドキャリアを明確に思い描いている。 Jクラブで監督を務めるには、日本サッカー協会(JFA)が発行する公認指導者ライセンスのなかで最高位となるS級が必要となる。しかもC級からB級、A級と順次ライセンスを取得し、ようやくS級取得へ向けたスタートラインに立てる。 数年間を要するカリキュラムのなかで、槙野は新型コロナウイルス禍で長期中断を強いられていた昨年前半の段階で、コーチ養成講習会をオンラインで受講していた。 「自分はサッカーで生きてきた人間なので、引退後に監督になる大きな目標へ向けて、現役のうちにB級までは取得しておきたいと思っていたので」 昨年にこう語っていた槙野は、ライセンスの取得状況をこう説明してくれた。 「いまはB級ライセンスを受講中で、講義が終わって実技指導に入っています。昨日もそうですけど、今日もこの会見が終わったらジュニアユースの実技指導に行きます」 JFAが定める指導者ライセンス制度は、現行でB級取得者がA級を受講するには、1年以上の指導実績が求められる。しかし、JFA技術委員会は今月に入って、日本代表で20試合以上の出場歴を持つ受講者は指導実績を免除することを決めている。 ロシアワールドカップのポーランド代表とのグループリーグでの試合を含めて、槙野の国際Aマッチ出場数は「38」を数える。指導実績を免除される対象になると明言した槙野は「監督槙野を見たいですか」と笑顔を浮かべながら、こんな言葉を紡いだ。 「そうですね。いろいろな仕掛けができればと思っています」 順調に受講が進めば今年にB級、来年にA級、再来年にS級を取得し、シーズン中に37歳になる2024年からJクラブの監督を務める上での資格面での環境が整う。ただ、スパイクを脱ぐまでは、現役としてやり残したことがあると前を向いた。 「他のクラブで同じような情熱を持って、違うユニフォームを着てプレーする姿を、いまはまだ想像できません」 チームメイトたちに告げても、異口同音に最初は「冗談でしょう」と言われた退団を受け入れている最中だと明かした槙野は、今後についてこう続けた。 「時間をかけてでもいまの自分の状況をしっかりと整理して、今後に何が必要なのか、自分が何を求めているかを考えた上で、次のステージに向かっていきたい」 今シーズンの槙野は夏場以降に、新加入の元デンマーク代表アレクサンダー・ショルツにセンターバックのレギュラーを奪われた。しかし、センターバックが不足した序盤戦はフル稼働し、リーグ戦ではここまで25度の先発を含めた30試合に出場。プレー時間はフィールドプレーヤーでは3番目に多い2295分を数えている。