なぜジュビロ磐田はJ1復帰を果たしたのか…背景に“ゴン中山”の指導で磨いた攻撃力
J2最強の攻撃力にしぶとさと勝負強さを融合させて、歴代4位タイの3度のJ1リーグ優勝を誇るサックスブルー軍団がトップカテゴリーへの帰還を決めた。 明治安田生命J2リーグ第39節の残り7試合が14日に行われ、首位を快走するジュビロ磐田が敵地で水戸ホーリーホックに3-1で快勝。勝ち点を「86」に伸ばし、3試合を残して来シーズンのJ1へ自動昇格できる2位以上を確定させた。 今シーズンから指導者として磐田に復帰したレジェンド、元日本代表FWの中山雅史コーチ(54)が課す個別のシュート練習などで磨かれた攻撃力は、リーグ最多となる「71」もの総得点となって結実。東京五輪による中断から明けたJ2戦線を11勝5分けと無敗で駆け抜ける原動力となり、3シーズンぶりとなるJ1復帰を手繰り寄せた。
「ゴール前で迫力を出せ!」
引き分け以上でJ1昇格が決まる一戦で、今シーズンの磐田が誇る攻撃力がいきなり全開になった。前半12分にDF大井健太郎、3分後にはMF大森晃太郎が立て続けにゴール。後半6分にはFWルキアンも共演して勝負を決めた。 得点ランクの単独トップに立つ22ゴール目を決めたルキアンは、ゴール裏に陣取った磐田のファン・サポーターのもとへ駆け寄って喜びを分かち合った。 「彼らが磐田から水戸まで来てくれた距離を考えれば、ゴール裏まで走る距離なんてたいしたことはない。パワーを伝えてくれたみんなには本当に感謝している」 敵地ケーズデンキスタジアム水戸から直線距離にして約300km。ホームタウンの静岡県磐田市では、J1復帰を縁の下で支えた中山コーチが喜びをかみしめていた。 今シーズンの磐田は鈴木政一監督、服部年宏ヘッドコーチ、西野泰正コーチ、大神友明ゴールキーパーコーチらが開幕からベンチに入ってきた。新任の中山コーチはベンチから外れた選手たちが参加する練習の指揮を執りながら、ホームでリーグ戦が開催されるときにはヤマハスタジアムへ駆けつけてチームを熱く鼓舞してきた。 日々の練習でもまずは準備や片付けなどを率先して担当。選手たちに対して「ひたむきに戦え。楽な試合はひとつもない」と檄を飛ばし、全体練習後に課す個別シュート練習では、自身の経験から「ゴール前では迫力を出せ」と要求し続けてきた。 現役時代は「炎のストライカー」として磐田と日本代表で活躍し、熱さを全開にしたキャラクターで人気者になった。一転して12年ぶりに古巣へ復帰し、コーチとして本格的に指導者の道を歩み始めてからは、発信などはYouTubeに開設した「ゴン中山チャンネル」内にとどめ、鈴木監督以下の首脳陣のサポートに徹してきた。