なぜ冨田せなは銅メダルを獲得しスノーボード女子HPの歴史を塗り替えることができたのか…女王が語った進化のスピード
終わってみれば、その女王の壁の高さを実感させられた冨田だが、優勝会見でキムは、「今、女子のハーフパイプは、進化のスピードが速い。前回の五輪では、ほとんど1080を目にしなかったのに、今は、多くの選手が決めている」と話した。 その進化を象徴する一人こそ冨田であり、だからこそ3本目の最初に1080を決めていたら、その後、どう技を繋いでいたのかーー。 失敗してなお、まだ22歳の彼女のポテンシャルの高さを感じさせられた。 一方、予選を6位で通過した妹の冨田るきも、1回目と2回目はいずれも転倒したが、追い込まれた3本目に80.5点をマークして5位入賞。「バックサイドナイン(2回転半)は、女の子ではやっている人が少ない。絶対やりたかった技なので、出来てよかった」と満足げ。しかし、「3本とも立って、笑顔で終わりたかった。自分の中では納得がいかない」とも話しており、その悔しさがどう原動力となって成長するのか、姉同様、伸びしろの大きさを示唆しているようだった。なお、予選2位で通過した小野光希は、最後のランで「自分の中では立てる」と自信を持って挑戦したキャブ1080(スウィッチスタンスからのフロントサイド3回転)を失敗し、9位に終わっている。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)