なぜ冨田せなは銅メダルを獲得しスノーボード女子HPの歴史を塗り替えることができたのか…女王が語った進化のスピード
北京五輪のスノーボード女子ハーフパイプが10日、雲頂スノーパーク H & S スタジアムで行われ、冨田せな(22、アルビレックス新潟)が決勝2本目に88.25点をマークするなどして3位。女子ハーフパイプでは日本人初のメダルを獲得した。優勝は平昌五輪で同種目の金メダルを獲得したクロエ・キム(21、米国)。圧倒的な強さで連覇を達成している。2位には五輪5度目の出場となったケラルト・カステリェト(32、スペイン)が入った。
1本目から大技「フロントサイド・テールグラブ1080」に成功
どんな人が頭をよぎるのか? 競技終了後のテレビ代表インタビュー。 「オリンピックに出るのにたくさんの方に支えてもらったので」と口にしたところで、冨田せなは言葉をつまらせ、涙を拭った。 「たくさん、感謝の気持を伝えたい」 9日の予選後、「ここのスキー場(19年12月のW杯)ではけがをしたことがあって、それがちょっとよぎった」と話した冨田。 低い気温。硬い人工雪。不運にもフラッシュバックの条件は揃っていたが、決勝では支えてくれた多くの人の顔がよぎり、恐怖心を打ち消すことが出来たか。 決勝1本目のランで、いきなり歴史を手繰り寄せた。 過去最強布陣で臨んでいるスノーボード日本代表。村瀬心椛(ムラサキスポーツ)らが出場し、メダルの期待も高かった女子スロープスタイルでは、岩渕麗楽(バートン)の5位が最高。予選を2位で通過した村瀬は、10位に沈んだ。しかし、1月終わりにコロラド州アスペンで行われた冬季Xゲームの女子ハーフパイプを制した冨田が、あのときに勝負を決めたフロントサイドのテールグラブ1080(横3回転)を1本目のファイナルヒットでメイクし86.0点を叩き出すと、その時点でのトップに躍り出ている。 「正直、1本目から決められたのがすごいでかかった」 冒頭のインタビューでそう振り返った冨田。気持ちに余裕が生まれたことで2本目は高さが増し、その高さに支えられた一つ一つのトリックが、よりスタイリッシュに。着地もスムーズで、得点を88.25点まで上げると、メダルを確実なものとしている。