『虎に翼』が示した正しいだけでないヒロイン像、「透明化されてきた」人たちへの視点
2024年4月1日に放映がスタートしたNHKの連続テレビ小説『虎に翼』。放映直後から、「#虎に翼」だけでなく、「#俺たちの轟」「#イマジナリー優三」などのハッシュタグが生まれ、「優三さん」「花江ちゃん」「穂高先生」「桂場さん」「梅子さーーーん」「総力戦研究所」「原爆裁判」「よねさんの涙」「主人公ナレ死」など、9月27日の最終回を過ぎても毎日のように、『虎に翼』関連のワードがX(旧Twitter)のトレンドに並んだ。 【写真】穂高先生の顔を見るなり…写真で振り返る「虎に翼」名シーン そんなみんなに愛された『虎に翼』の総集編(前編・後編)が12月30日午前7時20分からNHK総合で放映される。 FRaUwebでも、4月に『虎に翼』の放映が始まってから、関連記事を複数掲載してきた。今回、総集編放映に伴って、記事を寄稿いただいたライターの方々や編集者、また、『虎に翼』ファンの方たちに「忘れられない名場面」や「ドラマの魅力」についてコメントいただき、全3編でお伝えする。第1編は、『虎に翼』の記事を数多く書いてくださって、多くの共感を集めた、ライターの福田フクスケさんと田幸和歌子さんのコメントを紹介する。 ※自分にとって印象的だったシーンを最大3つまで選んでいただき、そのシーンを選んだ理由と、『虎に翼』の魅力について書いていただいた。
日本国憲法14条に繋がるストーリー展開
第10週から毎週、「『虎に翼』振り返り日記」という連載で、ドラマレビューを寄稿してくださったライターの福田フクスケさん。 【福田フクスケさんが選ぶ、忘れられない、印象的だった場面】 (1) 終戦後に、夫の優三が亡くなった知らせを受けて満身創痍の寅子が、ヤミ市で買った焼き鳥を食べながら河原で新聞の日本国憲法を読んで号泣するシーン(第9週) 第1話の冒頭のシーンが、実はこんなに悲しくて切ない場面に繋がっていたのか!という構成の鮮やかさに感動しました。「こっそりおいしいものを食べる」というのは生前の優三と寅子がしていたこと。その食べるという行為を通じて、焼き鳥を包んでいた新聞紙で偶然日本国憲法に出会うという流れが秀逸でした。 しかも、生前に優三が言っていた「トラちゃんができるのは、トラちゃんの好きに生きることです」「トラちゃんが後悔せず、心から人生をやりきってくれること、それが僕の望みです」というのが、まさに日本国憲法14条の理念を表してたんだな、というのがそこでわかるんですよね。イマジナリー優三が隣に寄り添って14条を読み上げてくれてるようなシーンになっていました。