「眠気」と「覚醒」は特定の酵素が交互に発現して起こる 東大など解明
ウイルスベクターの実験では、PKAを阻害したところ、ノンレム睡眠が増加し、強い眠気が現れていた。逆に、活性化させるとノンレム睡眠が減っていることも確認できた。これらの物質は神経の中でも興奮性シナプスの後部で発現することも分かった。つまり、PP1とカルシニューリンは、興奮性シナプス後部でPKAと競合することにより、眠気と覚醒のバランスをとっているといえる。
上田教授は「睡眠を促進するためにPP1とカルシニューリンの2つの物質がなければいけない理由はまだ分かっていない。また、これらの物質が他の部位でどのように働くかも分かっていない。睡眠薬はニーズが強い。老化は眠りが浅くなるとされるが、睡眠を深くする薬は作れていないので、そういった薬ができると良い」とした。
研究は科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)の助成を受けて行われた。成果は2024年11月6日に英科学誌ネイチャーに掲載され、東京大学などが同7日に発表した。