ヒョンデ・アイオニック5N 詳細データテスト ドライバーズカーEV誕生 重さを忘れるハンドリング
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
伝統的なスーパーサルーンの魅力は、その大部分が、テクニカルな道ではスポーツカー的に跳ねる動きが明らかでも、長距離は楽に移動できることにある。おなじことは、アイオニック5Nにもいえる。予想どおり、ダンパーをもっともソフトに設定しても、乗り心地にはある程度の過敏さが見られる。 しかし、それもほんのわずかで、決して根本的な快適性を侵害するものではない。静粛性に関しては、650psもありながら113km/hで70dBAを切る稀有な存在だ。 手動調整式の硬いバケットシートのシェイプが、好みにピッタリではないかもしれない。それでも、しっくりくるポイントは見つかるはずだ。
購入と維持 ★★★★★★★★★☆
タイヤはEVに最適化したコンパウンドのピレリPゼロだが、接地面積は大きいので、ころがり効率が最高の利点ではなくても驚きはない。ツーリング電費は4.0km/kWhだったので、高速道路での現実的な航続距離は320kmちょっととなる計算。充電スピードが最大239kWに達することを考えれば、まずまずといえる。 平均は4.5km/kWhなので、走行可能距離は370km程度。さほど長くはないが、これ以上期待するのは、600psオーバーのBMW M5に16km/L近い燃費を求めるようなものだ。 6万4945ポンド(約1214万円)という価格は、ロータス・エメヤやポルシェ・タイカンの同等のパワーを持つ仕様に比べればさほど高価ではない。それでいて、ドライバーの満足度や日常での使い勝手で劣ることはない。 同等の性能を持つ内燃エンジン搭載車となると、パワーなどを考えればBMW X5Mあたりの名が挙がるが、そのほうがかなり高価だ。アイオニック5Nは、なかなかのバーゲン価格と言えそうだ。
レイアウト
スーパーカー顔負けのスペックだが、コストを抑えたヒョンデは、標準モデルのE-GMPプラットフォームに多少の補強を加えて使用する。 前後とも永久磁石同期式モーターを積むが、リアのほうがパワフルで、電子制御LSDを組み合わせている。前後重量配分は、実測で50:50だった。