ヒョンデ・アイオニック5N 詳細データテスト ドライバーズカーEV誕生 重さを忘れるハンドリング
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント センターのタッチ式ディスプレイは、通常モデルと同じ12.3インチ。メーターパネル代わりのディスプレイも同じサイズだ。数は少ないが使いやすい実体スイッチも、通常モデルと変わらず、音量やエアコンの調整もストレスフリーだ。 しかしながら、タッチディスプレイの位置がドライバーからちょっと遠すぎるのも確かなところ。アイコンを押すには、必要以上に腕を伸ばさなくてはならないので、テスター陣には不評だった。 2面1組の大画面ディスプレイは、山のような情報をもたらしてくれる。タイヤの空気圧や各モーターの温度、Gフォース、ブレーキとスロットルの稼働率などが、視覚的に確認できるのだ。走行系各部のセッティングも、これを介して行える。 メーターディスプレイは、センターに大きな速度計を配置するが、黄色い回転計を置くことも選べる。車載システムを使わない場合にも、Android AutoやApple CarPlayとの連携ぶりはじつによくできている。 ■燈火類 ヘッドライトはデュアルプロジェクターLEDで、印象的なパラメトリック・ピクセルグラフィックLEDも備える。夏期のテスト中には、試す機会がなかった。 ■ステアリングとペダル ペダルはセンター寄りで、左足ブレーキも許容するポジション。そこには文句はないが、ステアリングコラムのテレスコピック幅はもっとほしい。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
トラクションを扱い、状況によってはアジリティを高めるため、アイオニック5Nはフロントのブレーキによるトルクベクタリングと、リアの機械式LSDを用いる。LSDは3モード式で、ESCとステアリングの性格も同様。前マクファーソンストラット/後マルチリンクのサスペンションに組み込まれるダンパーも3段切替式だ。 会得すべきことは多いが、速く走らせるのに難しいことがいらないクルマなのはすぐわかる。英国では、サスペンションと、硬くてギア比設定のうまいステアリングのスポーティさはコンサバティブに、デフはアグレッシブなマックスアタックに、ESCは半分オフ寄りにするのがおすすめだ。 そうすると、かなり速く、トラクションはすばらしく、横グリップも良好。しかし、どんなときでも、スロットルペダルだけで手際よく、正統派のようなスタイルで姿勢を変えることができる。1/4くらいのカウンターステアを当てて安全に楽しめるという点では、最高レベルのクルマだ。 仮想ギアも、その役割を果たす。公道を走るようなスピードにも意味のある前後関係をもたらし、1段か2段のシフトダウンで、メンタル的にも機械的にも、みごとなコーナリングへの準備を整えさせるという点では並ぶものがない。 ターンインは申し分なく、ノーズはフラットでステアリングは正確。いかに不器用なドライバーが操作してもも、サスペンションやステアリングへ自然にゆったりと負荷がかかるように思える。 優秀なホットハッチのように、スロットルを抜いた際のレスポンスをもっと高めることもできたはずだが、スロットルオンでの力強さで埋め合わせている。現時点のEVでは最高のドライバーズカーで、四輪による飾り気のない楽しみの追求における、複雑だが洗練されたソフトウェアのエンジニアリングの成功例だ。