なぜ横浜DeNAは最下位に終わったドキュメンタリー映画を劇場公開するのか…営業戦略と伝えたかった希望の光
横浜DeNAベイスターズの今季の戦いに内側から密着した球団公式ドキュメンタリー映像作品「BBB(BAY BLUE BLUES)2021」が22日から神奈川、東京など全国15か所の劇場で順次公開される。横浜DeNAが、これまではタブーとされていた内幕を作品にしたのは9年前。昨年は新型コロナの影響により制作中止となったが、2年ぶりに復活、これが8度目の映画化となる。なぜ最下位に終わったシーズンの裏側を見せるのか…その戦略と理由に迫った。
低迷脱出に必死にもがく知られざる裏舞台
物語は南場オーナーが立派な部屋で当時2軍監督だった三浦氏に正式な監督要請をする場面から始まる。緊張感の漂うなかなか見られないシーンだ。 100分のこの作品は、三浦新監督が指揮を執った1年目のシーズンを追う横軸にテーマごとに縦に切り取った4つのエピソードで構成されており、ベンチ、ロッカー、移動の車中など普段はお目にかかることのできない裏舞台が赤裸々に紹介されている。 ディレクションを担当した球団のビジネス統括本部エンタテインメント部、前原祥吾氏によると、コンセプトは「選手のありのままの姿を見せる」で「新型コロナ禍で、ファンの方々との接点も少なくなっている。選手の頑張っている姿や、悔しがっている姿を伝えることで、ファンの方々との接点を持てればと考えた」という。 密着日数は、270日以上。自らカメラを持って密着した監督の辻本和夫氏が中心になって延べ500時間以上撮影したという。前作品に比べて100時間以上増えた。現役を引退した三浦監督が2017年に球団の「スペシャルアドバイザー」に就任して、米国のメジャー、マイナーを視察した際の貴重映像もあり、その撮影データ量は膨大だ。 作品タイトルは、「BBB(BAY BLUE BLUES)2021」とつけられた。 「最下位」に終わったシーズンの密着作品だけに「ブルース」と聞くと、悲哀や憂鬱といった重たいイメージが浮かんだが、このネーミングには「悲哀ではなく、横浜DeNAぽさ、横浜の港町ぽさ、三浦監督ぽさを表現したくてブルースという言葉を使った。ブルースは日常の様々なものを切り取って歌にするもので、まさにピッタリだと考えた」(前原氏)とのメッセージが込められている。