失敗の経験がなく、うまくいかないときに癇癪を起す子どもたち。中学受験塾 SAPIXが「自信を育てる声かけ」を伝授
◆失敗は恥ずかしいことではないと教える SAPIXでも失敗の経験がないゆえに、うまくいかないことがでてきたときに癇癪を起こしてしまう子どもがいます。高学年になって、初めてうまくいかないことが目前に現れて、他の子どもよりも大きな混乱が生じたのではないでしょうか。 こうしたケースを耳にすると、低学年の間に「うまくいかなかったね。次はどんな挑戦をしてみる?」と対話できる経験を大切にしてほしいと思うのです。 それと同時に「失敗は恥ずかしいことではないんだ」ということを伝えてほしいとも思います。 少し話がそれますが、高学年になると、失敗を過度に恐れるあまり、カンニングをしてテストの点数を誤魔化そうとする子がでてきます。 SAPIXでは、カンニングを見つけたら指導しますが、それだけでは子どもが心の底からカンニングをやめようと思わないこともあるといいます。 なぜなら、「見つかったから悪いのだ」という思考になるからです。そのため、「今度は見つからないようにカンニングをしよう」という考え方に向かってしまいます。 大事なことは、「カンニングをしても自分のためにならない」という根本的な部分について子ども自身が腹落ちすることです。 自分の勉強にはならないし、問題を解く力がどんどん落ちていくから、やめたほうがいいと理解しておく必要があります。 そのためには、間違えることは恥ずかしいことではなく、それを誤魔化すことのほうが悪影響であるときちんとわかっていなければなりません。
◆大人になったときの影響 これは、小学生時代に限ったことではないでしょう。 その後の学習においても、大人になったときの仕事においても、できないことや失敗を誤魔化そうとする気持ちばかりが働いてしまうと本質的なことを達成できないままになってしまいます。 本当に目指すべき価値を見出せていなければ、自分の目標を実現することはできません。 誤魔化したり失敗を回避したりといったひとつひとつの行動は些細なものだったとしても、積み重ねると大きな差になってしまいます。
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