失敗の経験がなく、うまくいかないときに癇癪を起す子どもたち。中学受験塾 SAPIXが「自信を育てる声かけ」を伝授
「うちの子、とくに算数が苦手で……」「私自身、算数が苦手だから、子どもも嫌いになってしまうのでは……」など、親子ともに算数への苦手意識を持っている家庭もあるのではないでしょうか。教育ライターの佐藤智さんは、このような悩みの声を受けて、難関中学受験で高い合格実績を誇る塾「SAPIX小学部」で算数を担当する先生を取材しました。今回は、佐藤さんの著書『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』から、SAPIX流・算数を嫌いにさせないメソッドを一部ご紹介します。 【書影】進学塾が教える「算数力が勝手に伸びる」メソッドとは?佐藤智『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』 * * * * * * * ◆適切に子どもを困らせる お世話のしすぎが、子どもの成長機会を奪う 子どもが忘れ物をしそうなとき、どんなふうに声をかけているでしょうか。 失敗をしないように、「あれは入れたの?」「ちゃんと確認した?」などと声をかけていないでしょうか。 「子どもが困らないようにしてあげたい」 「先生に怒られないようにしてあげたい」 そんな親心があるのは、当然のことだと思います。 しかし、大人がどんどん先回りをしていくと、自分で「忘れ物をしないためにはどうしたらいいか」について考えなくなってしまいます。つまり、忘れ物が自分ごとになっていないので、忘れ物を防ごうという意志が働かないのです。
◆子ども自身に考えさせる SAPIXでは、算数の復習テストで点数が2回連続で悪かったときには、何が原因だったかを子ども自身が考えるようにうながしています。たとえば、計算練習が足りていなかったのか、ケアレスミスが多かったから見直しをていねいに行う必要があったのかなど、子ども自身が思考をめぐらせます。 先生や保護者が一方的に、「あなたの対策はこれです」と伝えても、自分で考えた方法ではないので、主体性がないまま「こなすだけ」になってしまうからです。 自分で考えた対策を試したものの、ときにはそれがうまくいかないこともあるでしょう。その際は、別の工夫をしてみればいいのです。 こうした試行錯誤を経験しなければ、困ったことが発生したときに思考停止の状態になってしまいます。 転ばぬ先の杖を用意し続けると、子どもの成長機会を奪っていることにつながりかねないことを心にとめておいてください。 少し先の未来を見据えて、失敗をしたことがないまま成長していくとどうなるかを考えてみましょう。
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