児童書大健闘、小学館の様々な取り組み
『週刊少年サンデー』と『コロコロコミック』は…
『週刊少年サンデー』とそのコミックス、そして『コロコロコミック』については第二コミック局の縄田正樹チーフプロデューサーに聞いた。 「『週刊少年サンデー』は人気連載『名探偵コナン』の劇場新作アニメが4月に公開され、既に興収130億円を超えています。最終的には140億円くらいまで行くのではないでしょうか。コナン映画を初めて観る方でも楽しめる内容だったと思います。 小学館からは映画公開のタイミングでコミックス第103巻が発売され、10月には第104巻が発売されましたが、初版60~70万部で安定しています。 『名探偵コナン』は2024年が連載開始30周年イヤーということで、1月12日から大きな原画展を開催。その後も1年間かけていろいろな企画をやっていきます」 2023年の大きな動きとしては、秋に日本テレビで『週刊少年サンデー』の人気マンガ『葬送のフリーレン』のアニメが始まったことだ。 「『葬送のフリーレン』のアニメ化はこの年一番のトピックですね。アニメの出来がすごく良いし、視聴率も高い。コミックスや電子コミックへの跳ね返りもすごいですね。アニメが始まってから、倍増また倍増という感じで売れています。 小学館としても、アニメスタート前後に何度も雑誌の表紙を飾り、トランプや缶バッジをつけた特製版のコミックスも発売しました。 同じく日本テレビで秋からアニメが放送された『薬屋のひとりごと』は『サンデーGX』連載の作品ですが、こちらも大反響です。この作品は、原作は日向夏先生の小説で、イマジカインフォスという別の出版社から出ています。コミカライズした漫画は小学館とスクエアエニックスと2社から出ています。両方買って読み比べているファンもおり、書店では並べて販売されています」(縄田チーフプロデューサー) そのほか映像化を機に売れている作品としては『サンデーGX』連載の『ゾン100』がある。 「『ゾン100』はゾンビもので、ちょっとコミカルな要素も入っています。ネットフリックスで、今夏に実写映画になっています。同時にMBS/TBS系でテレビアニメも流れています。今までも人気のあった作品ですが、映像化でさらに売れています」(同) 『コロコロコミック』関連でも動きがあった。 「タカラトミーさんの世界的人気のベイブレードというコマの玩具の第4世代である『ベイブレードX』が夏に発売され10月からはテレビ東京でアニメも始まりました。『コロコロコミック』の連載漫画も含め子どもたちの間でたいへん盛り上がっています。 作品の映像化で人気が出ても、雑誌の売れ行きには響かないケースが最近は多いのですが、『コロコロコミック』のような児童誌は紙で読む読者が多いので、『ベイブレードX』の連載が始まってから雑誌の売り上げも伸びています。発行部数は30~40万部ですが、連載が始まって数万部伸びました」(同) 小学館では独自ゲーム開発にも取り組んでいる。 「23年3月に『カブトクワガタ』というゲームが発売されています。昆虫がテーマの対戦型ゲームで、ネット上でゲームソフトをダウンロードして遊びます。また、パッケージ版も11月よりおもちゃ売り場などで発売されています。やっぱり子どもたちにとっては、実体のある物を買って遊ぶというのが大事なことなんですね。『カブトクワガタ』は小学館が開発したゲーム第1弾ですが、いま第2弾を企画中です」(同) デジタルコミックについては、小学館では青年漫画中心の「マンガワン」と、少年漫画中心の「サンデーうぇぶり」と2つのアプリを展開している。『葬送のフリーレン』や『薬屋のひとりごと』のアニメのヒットで「サンデーうぇぶり」のユーザー数も大きく伸びたという。 もうひとつ、これは少年漫画を擁する第二コミック局の管轄ではないが、『月刊フラワーズ』で連載中の『ミステリと言う勿れ』が、ドラマ化に続いて23年に劇場実写映画が公開され大ヒットしたことで、コミックスも大変よく売れたという。