児童書大健闘、小学館の様々な取り組み
『大ピンチずかん』がシリーズ累計125万部
『図鑑 NEO』を含む児童書や文芸書などの売れ行きについては、マーケティング局の伊澤亮一ゼネラルマネージャーに聞いた。 「『図鑑 NEO』は、2023年2月に『NEOアート』という関連シリーズが誕生、新しいジャンルに挑戦しました。『図解 はじめての絵画』というタイトルで初版6万部スタート。11月現在、5刷23万部に積み上がっています。 6月に出た『図鑑 NEO[新版]人間』は初版7万部スタート、2刷10万部です。11月22日発売の『図鑑 NEO 音楽』は8万部でスタートし、約1週間で5万部の重版が決まりました。 それから『学習まんが日本の歴史』は、22年12月1日に出した1巻目が4万部スタートで6万2000部です。全20巻ですが、最終20巻も3万7000部スタートで4刷5万9000部まで行っています。 今、話題になっているのは『大ピンチずかん』ですね。1巻目が22年2月に初版1万でスタートしましたが、じわじわと伸びて22刷まで版を重ね、23年12月末で80万部まで行っています。11月22日に『大ピンチずかん2』を出しましたが、こちらは12万部スタートで、発売前重版と年末年始にできてくる分を合わせて45万部に達しています。シリーズ累計125万で、絵本のジャンルでは、稀有な例と言えます。『大ピンチずかん』の方は、トーハンさんの書籍全体の2023年年間ベストセラーで1位になりました。 それから、キャラものでいうと、7月26日に『ポケモン パルデア図鑑』が10万部スタートで、11月末で36万部まで行っています。 またドリルの市場では、数年前に『うんこドリル』が大きなブームになりましたが、弊社も満を持して『ポケモンずかんドリル』を刊行しました。2023年2月22日に7点刊行し、一番売れているのが『小学1年生 たしざん・ひきざん』で、3万5000部でスタートして10月に24万部まで積み上がっています。7点中4点が10万部を超えており、ドリル市場でシェアナンバー1になっています」 好調の背景には様々な施策の効果もあるという。 「かなり積極的にテレビCM等も含めて宣伝はやりましたし、2023年はいろいろな賞も受賞しました。CMは、今もお笑い芸人のやす子さんのものをやっているし、朝の情報番組などでも、やす子さん絡みで紹介いただいています。宣伝と販売のマーケティングチームの力も影響したのではないかと思います」(伊澤ゼネラルマネージャー) 児童書の図鑑などは電子版でなく紙の本が安定した市場を形成している。しかも、児童が成長するにつれて次の世代が読者になるため、市場そのものが一定の規模を保っているという。 「辞書についても小学館から2023年には『例解学習国語辞典』と『例解学習漢字辞典』の4年ぶりの改訂が行われました。『例解学習国語辞典』はワイド版も含めて23万5000部です。『学習漢字辞典』はトータルで16万5000部です。この部数は、4年前に改訂した時の初版と同じです。市場全体が落ちている中で同じ部数というのは、やはりこのジャンルでも市場1位のシェアを保っていくということです」(同)