【独自】宝島さん夫妻を狙った“黒幕”の正体と誤算 「暴力団の抗争に巻き込まれた可能性」「平山容疑者が出頭する想定外」元刑事が分析
栃木県那須町で夫婦の焼けた遺体が見つかって約2週間が経過し、実行犯とみられる男らが逮捕されるなど新たな局面を迎えた。事件の背景について、元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏に、見立てを聞いた。 【映像】佐々木容疑者(28)逮捕直前の様子
遺体発見翌日に出頭した平山綾拳容疑者を皮切りに、指示役とみられる佐々木光容疑者、遺体に火を付けた実行役とみられる元俳優・若山耀人容疑者と姜光紀容疑者が相次いで逮捕された。 秋山氏は「事件を主導する『黒幕』は完全犯罪を目指したはず。しかし想定外の出来事が起きた」と推測する。最初の「想定外」は、犠牲となった宝島龍太郎さんと、妻の幸子さんの遺体を燃やす場面にあった。秋山氏は「実行犯は素人で、人間が簡単に骨にはならないと知らなかった。火が燃えたぎり、慌てて逃げたため、携行缶など遺留品も残してしまった」と指摘する。その上で、「絞殺は多くの証拠を残すが、容疑者は“素人”で、それを知らない」とも語る。
加えて、黒幕にとって想定外となったのは、平山容疑者の出頭だ。事件発覚の翌日、交番に出頭。その後、死体損壊容疑で逮捕された。秋山氏は「平山容疑者は警察に助けを求めてきた。事件が明るみとなり、主犯格から口封じで消されることを恐れ、殺害はしていないと伝えた上で逮捕という保護を選んだ」とみている。このようなケースでの出頭では、容疑者は全面自供し、供述の信ぴょう性は非常に高いという。 遺体の処理などを指示したとされる佐々木容疑者は、指名手配された上で、沖縄の那覇空港で発見され、平山容疑者が出頭した8日後に逮捕された。「通常の捜査では、携帯会社に申請して、スマホの微量な電波で位置を特定する」(秋山氏)。 指示役と仲介役、実行役とみられる容疑者は、すべて死体損壊容疑で逮捕されている。秋山氏は「まずは損壊容疑で逮捕状を取り、その後の再逮捕を狙っている。殺害したのは別のグループだった可能性はある」とした。なお、指示役のさらに上に黒幕がいるとされるが、佐々木容疑者は「会ったこともなければ、名前も知らない」と話している。 夫婦は東京都内の空き家で暴行を受けたとされるが、なぜ宝島夫妻はそこを訪れたのか。秋山氏は「新店舗を品川あたりに出そうとしていた。不動産の話を持ちかけて連れ込んではないか」と推理する。佐々木容疑者は「指示を受けて空き家に行った」と供述している。