クリエイター所有型 eスポーツ チームの台頭とその限界。業界が抱える課題と可能性とは
記事のポイント クリエイターが所有・運営するeスポーツチームが増加し、スポンサーシップ売上依存の軽減が期待されているが、依然としてスポンサーは不可欠。 クリエイター主導型のチームはブランドやスポンサーの注目を集めており、特に革新性やコンテンツ力に優れる点が評価されている。 クリエイターたちは新たな収益源を模索する一方、チーム運営費用の安定確保を目指しており、長期的な黒字化と持続可能性を追求している。 クリエイター所有のチームはかつて、eスポーツがスポンサーシップ売上への依存を脱するための有望な経路のひとつとされていた。しかし、そのビジネスモデルが成熟するにしたがって、明らかになってきたことがある。 クリエイターオーナーシップは、ブランドの関心を引くのにとりわけ効果的な方法ではあっても、業界が抱える病の数々に効く万能薬ではない、ということだ。 100シーブス(100 Thieves)などの有名eスポーツチームは過去、クリエイターによって部分的に所有・主導されてきた。しかし、ここ数年は、新たなタイプのクリエイター所有型eスポーツ組織が台頭してきている。 こうしたクリエイター所有のeスポーツチームが話の輪に加わるようになるにしたがって、こんな憶測も飛び交うようになった。彼らの方が、従来型のeスポーツチームよりも、昨年のようないわゆる「eスポーツの冬」の寒さの影響を受けにくいのではないか、という憶測だ。 つまり、こういうことだ。クリエイター所有型のeスポーツ組織は、スポンサーシップとサブスクリプションによる何百万ドルという売上を得ているインフルエンサーの情熱的なプロジェクトだ。そのため、彼らなら、スタッフをレイオフしたり、タレントを切ったりしなくても、スポンサーシップへの関心が低い時期も持ちこたえることができるだろうというものだ。 ここまでは、(ある程度までは)これでうまくいっていた。ところが現実には、こうしたチームもほかのeスポーツ組織と同じ核心的な問題を抱えている。スポンサーシップ契約は彼らにとって、いまなお不可欠なものなのだ。 こうしたチームがブランドやマーケターのeスポーツへの関心をつなぎ止めたおかげで、eスポーツの冬の氷もうまい具合に溶けてくれてはいる。しかし、だからといって必ずしも、この業界の存在を脅かすもっと大きな問題の解決策を、彼らが示しているわけではない。