「中国産食品を闇雲に避ける人」が知らない意外な事実、「中国産=危険」は大きな誤解と言える根拠
バターはいいけど、マーガリンは健康に悪い、オーガニック食品は安心で、中国産の食品は危ない……。ネットやテレビ、あるいは知人などの会話から、私たちは日々食品に対するさまざまな情報を仕入れ、中にはそれが“常識”となっているものもある。しかし、私たちが盲目的に信じている食品に関する情報ははたして本当なのか。 本稿では、科学ジャーナリストの松永和紀氏著『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』より一部抜粋・編集して、中国産の食品および農薬や食品添加物の安全性についてぞれぞれ紹介する。 【図表】厚生労働省の輸入食品検査での違反率では、中国産は各国平均より実は低い
■問題多発によりイメージ悪化 輸入食品の基準は緩く、国産食品のほうが安全……。そう考えている人が少なくないようです。しかし、輸入と国産で基準は同じ。外国で作られてきた食品も輸入されて国内に入ったら、国産と同じ基準をしっかり守らないといけません。 輸入食品の中でとくにイメージが悪いのは中国産です。それも無理からぬこと。中国産食品は2000年代初頭、冷凍ほうれん草に大量の農薬が残留していたり、うなぎから発がん性の疑いがある抗菌剤が検出されたり、さまざまな問題が起きました。
2008年はじめには、中国産餃子を原因とする薬物中毒事件が発覚。工場で従業員が故意に農薬を投入していました。中国産に対する不安が高まり、週刊誌などで盛んに報道されました。 でも、中国は日本の輸入相手国としてもっとも大きく、輸入件数の3~4割を占めています。水産物やその加工品が多く輸入されているほか、そば、あずき、野菜、きのこ、さまざまな農産加工品も大量に入ってきています。中国なしでは、日本の食卓は成り立ちません。
中国にとっても日本は大事な“お得意様”です。そのため、中国政府は規制を強化し安全性の改善に取り組みました。また、中国側と取引する日本の輸入商社や食品メーカー、生協なども、中国側の生産者や加工事業者などの指導や製品検査などに取り組みました。 問題が生じると日本企業や生協自体の大きな損失やイメージダウンにもつながるので、日本側も必死です。厚生労働省や自治体の検査も、中国に対して厳しく行われるようになりました。