「東京都知事」ってどんな仕事?
「猛烈タイプ」と「悠然タイプ」
都知事の仕事ぶりには個性があり、時の都知事で大きな違いもある。その「仕事ぶり」は、大きく2つのタイプに分かれよう。 1つは、毎日知事執務室に出勤し、多くの客に会い、各局幹部から報告を受け、それに細々と指示を出す仕事師タイプ。これを「猛烈知事」と呼んでおこう。 もう1つは、必ずしも毎日は出勤せず、自身の関心ある政治争点や行政分野には熱心だが、他の仕事は部下任せの気分屋タイプ。これを「悠然知事」と呼んでおこう。 筆者の知る限り、第1の猛烈知事の典型はマイタウン東京構想などで有名な鈴木俊一(1979~95年)であり、第2の悠然知事の典型はディーゼル車規制などで辣腕(らつわん)を振るった石原慎太郎(1999~2012年)だろう。 いまの小池百合子(2016年~現在)はどうか。ここ4年の間年々変化しているように見えるが、毎日出勤し部下に細々指示を出す点では前者に分類されよう。ただ関心ある特定テーマに偏る傾向があるので後者にも入る。世論の動向に敏感な「魚の目」を持つ独特の泳ぎをする第3のタイプかも知れない。
首都知事の仕事スタイルは?
他方、悠然知事タイプの仕事ぶりはどうか。石原慎太郎の前任の青島幸男(1995~99年)もそうだったが、青島は鈴木都政を引き継ぐが、先に紹介した鈴木スタイルはとらなかった。執務時間が終ると真っすぐ帰宅。パーティーや宴席にもほとんど出ない。副知事らに代理を頼むことも多く、外部の肩書きも多くは返上した。 石原知事も青島スタイルに近かった。両者の共通点は作家出身であること。出勤は週2~3日程度。在任中も作家活動を続け何冊も本を出している。外郭団体や外の仕事などは副知事らに任せている。大相撲千秋楽で石原が土俵上で都 知事賞の優勝カップを渡す姿を見たことはないだろう。石原の動静は公式日程以外ほとんど発表されなかった。この点は、その後重要視されるようになった情報公開の趣旨に背く。 日本では、知事の多くは鈴木スタイルに近い。しかしアメリカ大統領などの仕事スタイルをみると、石原スタイルも一つの選択肢かもしれない。社長が細々と指示を出すより大局観も持って仕事をする。方向を決めたら部下に任せることは任せる。責任はトップが取る。その方が組織全体の生産性は上がる場合もある。 これからの都知事は様々な仕事スタイルがあって良い。要は「3つの顔」の役割をしっかり果たし、それを都民が支持するかどうかである。