物価上昇の今「貯蓄2000万」ではもはや老後を乗り切れない…金融のプロ提案<長寿時代の投資術>
時間を味方につける「長期投資」は若いうちから始めるもので、50代からではもう遅いのではないか?と思う人が多いのが事実ですが、人生100年時代の昨今、むしろ生き方が定まってくる50代こそ投資適齢期だと、長期投資のプロフェッショナルである、さわかみ投信株式会社社長〈澤上龍氏〉は分析します。お金に上手に働いてもらいながら、生き生きと過ごすための一つの目安は「65歳でプラス3000万円」。初心者にもわかりやすく、長期投資の方法をまとめた一冊『50歳から成功する長期投資』からポイントを抜粋してお届けします。 【書影】50代こそが投資適齢期!今からでも遅くない長期投資とは?『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』 * * * * * * * ◆貯蓄、生命保険を整理してみる 自分のこれからの生き方をじっくりと考えたら、現時点での自分の資産を整理してみることも大事です。 貯蓄はいくらあるのか。 また50代になると満期を迎える生命保険も出てくるのではないでしょうか。若い頃、職場に営業に来た生命保険の外交員に勧められ、わけもわからず加入した保険があるという人も多いでしょう。 亡くなった後、家族に保険金を残したいという人もいると思いますが、よく考えてみてください。 妻や夫、子供にたくさんのお金を残す必要はありますか? 50代にもなれば子供も一人前です。たくさんの保険金を残すことが必須だとは思えません。 満期であればもちろんですが、また満期でなくとも場合によっては解約して投資にまわすということも考えるべきだと思います。 私の場合、生命保険には加入していません。 もちろん事故で相手の人を傷つけるリスクのある自動車保険、周りに迷惑をかける可能性がある火災保険などは入っていますが、自分が亡くなった時に保険金を残す必要性がないからです。
◆65歳で「3000万円」 生命保険を整理したら、貯蓄も加えて、資産が今どれくらいあるのかを書き出してみます。 見えないことは不安を招きます。まずは、自分の資産を「可視化」しましょう! 「老後に必要な資金は2000万円」という言葉をよく聞きます。 その要因は、2019年に「老後に2000万円の資金が必要である」という試算が、金融庁のワーキンググループから出されメディアに取り上げられたことです。 この2000万円とは、厚生労働省の平均データから算出したものです。 夫 65歳以上、妻60歳以上の無職夫婦の収支は、収入月20万9000円に対して、支出26万4000円、毎月約5万5000円の赤字となるため、夫が95歳になるまでの30年間で約2000万円の不足になる計算です。 おかげで私たちの頭には「老後2000万円」という言葉がインプットされてしまったようです。「2000万円貯めないと」という言葉を、20、30代の若い世代からも聞くことがあります。 こうした言葉を聞くと、本来なら将来したいことがたくさんあるはずの彼らが、まるで老後のために生きているようで悲しくなります。
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