【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
正義に目覚めていく弁護士を熱演!『弁護人』
1980年代初頭、軍事政権下の韓国、プサン。高卒だが独学で法律を学び、弁護士となったウソクは法廷には立たず、割のよい税務の仕事で家族を養っていた。そんなある日、恩人である食堂の女将の、大学生の息子が共産主義者のレッテルを貼られ、不当に逮捕・拘束されるという事件が発生。拷問を受け、自白を強要された彼を救うため、ウソクは弁護にあたる。しかし、それは自身を危険にさらすことを意味していた……。 後に韓国の大統領となったノ・ムヒョンの若き日の体験に基づく社会派ヒューマンドラマ。最初は家族のために金を稼ぐことしか考えていなかった弁護士が、法を逸脱した権力に怒りを覚え、社会正義に目覚めていく。そんな胸中の変化を、ガンホが鮮やかに体現する。法廷で怒りに突き動かされて怒鳴るのは常識的にどうかと思うが、ガンホが演じるとそこに人間味が宿る。彼の愛すべきキャラクターを再確認できるに違いない。
演技力を存分に発揮!『クラッシュ』
基本的に明るい作品が多く、観た後に前向きになれるのが、サンドラ・ブロックの映画だが、その分、彼女が超シリアスな演技をみせると意外性で印象に残る。『クラッシュ』はそんな一作だ。クリスマスシーズンのロサンゼルスを舞台に、ある交通事故を発端に、さまざまな人種の人々の運命が連鎖していくドラマ。2004年度のアカデミー賞で、当初の予想を覆して作品賞を受賞した。 黒人刑事と同僚のヒスパニックの恋人、リッチな黒人夫婦、差別主義者の白人警官、家族のために銃を買うペルシャ人の店主……と、出てくる人物は、それぞれ心に不満がくすぶり、いつ爆発してもおかしくない。そんな彼らが事故や犯罪、人種差別によって衝撃の決断を下す瞬間が切実で生々しい。サンドラが演じるのは、検事の妻。黒人の強盗2人組にクルマを襲われたことから、それまで眠っていた差別意識、白人優位主義があらわになっていく。ふだんから、やや神経過敏で、満たされない孤独感を抱えているという複雑なキャラクターで、サンドラの演技力が満点に発揮。終盤は心を激しく揺さぶる名シーンも用意される。