【まとめ】絶対感動!ヒューマンドラマ映画37本!
PTSDに苦しむ凄腕スナイパーを描く『アメリカン・スナイパー』
感動作とは別ジャンルだと思って観たら、じつはエモーショナルな味わいがメインの作品だった……。そのパターンにも、ヒューマンドラマの傑作は多い。本作も基本は戦争アクションながら、観終わった後、心を満たすのは深い“感動”の部分だ。2003年にイラク戦争がはじまって以来、4度も戦地に向かい、スナイパーとして無敵のテクニックで160人もの敵を射殺。米海軍“ネイビー・シールズ”の狙撃手、クリス・カイルの回顧録の映画化ということで、戦地での彼の活躍もたっぷり描かれる。 本作の最大の見どころは、クリスの心の軌跡だ。2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけに祖国のために狙撃手になると決意。しかし戦地で目の当たりにする悲惨な現実と使命感のギャップで彼のPTSDは悪化をたどり、帰国後はむしろ戦場へ戻りたくなり、家族関係も崩壊していく。監督のクリント・イーストウッドは『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』と同じく、戦争映画とヒューマンドラマの融合で鮮やかな手腕を発揮。クリスが次の瞬間、どんな行動に出るか、予想もつかない緊迫感とテンションが保たれ、迎えるクライマックスは“感動”という言葉すら安易に使えないほど切なく衝撃的だ。
父親と息子が絆を深める感動のロードムービー『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
このところニュースで途切れないのが、特殊詐欺事件。手を替え品を替え、巧みな話術で高齢者の被害が絶えない状況が続くが、本作の主人公ウディもある日、“100万ドルの賞金が当たった”という知らせを受ける。どう考えてもインチキなのは明らかなのだが、ウディは信じ込み、賞金当選チケットを受け取るために自宅のモンタナ州からネブラスカ州へ向かうと言い出す。周囲の反対にもまったく意思を曲げないウディを、息子のデイビッドは仕方なく車に乗せ、父子の旅がはじまる。 全編モノクロで展開するせいか、ここまで穏やかな気持ちになるロードムービーも珍しい。頑固な父に付き合うだけあって、息子の性格は優しく、そこも本作のポイント。父親をバカにする人間に対し、息子が思わず怒りをあらわにするシーンでは、彼のキャラ設定のおかげで有無を言わさず胸を締めつけられる。そして行く先々で出会う親戚や知人によって、息子が過去の父を知るプロセスは、ロードムービーの見本のようで誰もがしみじみ感動に浸ることだろう。最後に息子がとる、ある決意も妙に清々しく、小品ながら珠玉のヒューマンドラマだ。