「足のつり」にも漢方が効く! 痛みの緩和、予防に効果を発揮【40代・50代、漢方の知識、基本のき⑦】
「芍薬甘草湯」を用いる場合、足がつってから飲めばよいのでしょうか? それとも、予防的に飲むほうがよいでしょうか?
「漢方薬は、構成する生薬の種類が少ないほど即効性があるとされていて、その代表例が、ふたつの生薬から成る芍薬甘草湯です。 臨床研究では、内服して15分ほどで効果が表れるとされていますが、数分で症状が改善することもあります。また、芍薬甘草湯は、内服してから4~6時間効果が持続します。 つまり即効性があり、持続性もある便利な漢方薬なのです。 ですから、足がつってから服用してもよいですし、足がつりそうだなと思ったときは予防的に飲んでおくのもよいです。寝ているときに足がつる人は、就寝時に内服するのがおすすめです」 ■足のつりに効く代表的な漢方薬 ●芍薬甘草湯 こむら返り(足の筋肉がつること、特にふくらはぎの筋肉が痙攣すること)など、筋肉の痙攣に用いられる漢方薬。 ほかに、筋肉痛、神経痛、関節痛、腹痛、生理痛などにも用いられる。
「芍薬甘草湯」以外には、どんな漢方薬が効果的?
芍薬甘草湯以外で、足のつりに効く漢方薬にはどんなものがあるだろうか? 「全身の冷え(寒熱の寒)が原因の場合は、しょうがを含む漢方薬のような、体を温める漢方薬を使います。 生薬には、しょうがを乾燥させた生姜(しょうきょう)と、しょうがを蒸して乾燥させた乾姜(かんきょう)があります。体全体を温める場合には、乾姜を含んだ漢方薬を使います。 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、人参湯(にんじんとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)、当帰湯(とうきとう)、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)、黄連湯(おうれんとう)などです。 疲労(気虚)が原因の場合は、体の疲れを取る漢方薬を使います。気虚を改善するには、人参を含んだ漢方薬を使います。 冷えが原因の場合と同じものが多く、半夏瀉心湯、人参湯、半夏白朮天麻湯、桂枝人参湯、大防風湯、大建中湯、当帰湯、黄連湯などです。 急性疾患(六病位の「太陽病」)として起こる足のつりには、すぐに効果が表れる漢方薬を使います。葛根湯(かっこんとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、麻黄湯(まおうとう)、桂枝湯(けいしとう)などです。 それから、附子(ぶし/トリカブトの塊根を干したもの)を含んだ漢方薬を使う場合もあります。前述した桂枝加朮附湯のほか、八味地黄丸(はちみじおうがん)、真武湯(しんぶとう)、大防風湯、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などです。 何が原因かは自分で見分けることは難しいので、漢方に詳しい医師に相談しましょう。まずは市販の芍薬甘草湯から試してみるのもよいと思います」 足のつりを防ぐには、レッグウォーマーなどで脚の冷えを防いだり、寝る前にコップ1杯の水を飲んで脱水を防いだり、毎日の食事で魚介類や海藻類、ナッツ類、野菜など、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルが多い食品をしっかりとることもポイントだ。漢方薬の服用とともに心がけよう。