流行中の「リンゴ病」は子どもの病気? 30歳で感染・発症の女性医師「診断難しい」 山本佳奈医師
■体幹や四肢に紅斑の場合も 実は、小児ではよく見られる両ほほや体幹・四肢の紅斑ですが、成人が発症した場合、典型的な発疹を示さないこともしばしばあるようです。私の場合も、紅斑は頬には出現したものの、体幹や四肢に紅斑が出てくることはありませんでした。 さらに、「UpToDate」によると、感染した人の約25%は無症状であり、約50%は倦怠感、筋肉痛、発熱といったインフルエンザ様の症状しか認めず、残りの25%で、紅斑や関節痛がみられるといいます。非定型例や不顕性感染(感染したものの、感染症状を発症していない状態)を含め、伝染性紅斑には多彩な臨床像があることから、診断が難しいケースも多いのが現状です。実際に、最後に頬が赤くなるまで、伝染性紅斑と指摘されることはなかったことに加え、自分でも原因が最後までわからなかったことから、診断が難しいことを、我が身をもって体験したのでした。 伝染性紅斑は、予防のためのワクチンや特別な治療法はなく、対症療法が中心です。しかし、妊婦さんや免疫不全、溶血性貧血の方は注意が必要です。妊婦さんが伝染性紅斑に感染した場合、流産、子宮内胎児死亡、胎児水腫や胎児貧血など、胎児の合併症を引き起こす可能性があります。しかし、伝染性紅斑において、ウイルスが排泄されている期間は特徴的な症状がないため、感染予防は難しいのが現状です。そのため、伝染性紅斑の流行している時期は、感冒様の症状のある人との接触はなるべく避ける(※4) ことが予防につながると考えられるのです。 一度感染すると、生涯にわたってその病気に罹患しなくなる終生免疫(※5) を獲得すると考えられている伝染性紅斑。日本の成人の約半数(※6) は、伝染性紅斑に対する抗体を獲得しているということは、約半数はまだ抗体を獲得していないということを意味し、流行期には、小児だけでなく大人も罹患する可能性があるということになります。 幼少期に頬が真っ赤になったという記録がない方は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。 【参照URL】 [※1]https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241205/k10014659691000.html [※2]https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html [※3]https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/11/21/15.html [※4]https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html [※5]https://www.city.sapporo.jp/eiken/infect/trend/graph/l606.html#:~:text=%E7%99%BA%E7%96%B9%E3%81%8C%E5%87%BA%E7%8F%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%99%82%E6%9C%9F,2%E3%82%92%E5%8D%A0%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82 [※6]https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/31/6/31_6_448/_pdf
山本佳奈