流行中の「リンゴ病」は子どもの病気? 30歳で感染・発症の女性医師「診断難しい」 山本佳奈医師
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「伝染性紅斑(リンゴ病」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。 【図表を見る】去年より感染者が激増したのは「感染症」は? * * * 東京都を中心に、埼玉県・神奈川県・千葉県の1都3県で感染が拡大している「伝染性紅斑」。11月25日から12月1日までの1週間に報告された患者数は、1都3県(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)いずれも警報基準の「2人」を超え、1都3県すべてで流行警報(※1) が出ています。東京都の報告によると、今年の5月上旬から患者の報告数が増加傾向にあり、警報基準に達するのは6年ぶりだといいます。また、千葉県では今の基準で統計を取り始めてから初めて警報基準に達し、埼玉県では9年ぶりのことだといいます。 両側の頬がまるでリンゴのように真っ赤になることから、「リンゴ病」とも呼ばれているこの疾患は、小児を中心に流行することが知られています。国立感染症研究所(※2) の資料によると、年始から7月上旬頃にかけて症例数が増加し、9月頃症例が最も少なくなる季節性を示すことが多く、患者 の年齢分布を見てみると、5歳から9歳での発生がもっとも多く、ついで0歳から4歳が多いといいます。 実際に、東京都保健医療局の報告(※3) によると、2024年の初めから11月17日までに報告された伝染性紅斑の患者における年齢階層別内訳でも、5歳から6歳が32.0%、3歳から4歳が29.3%、7歳から9歳が23.0%。0歳から2歳が11.0%となっており、報告されている患者の95.3%が0歳から9歳の乳幼児や小児を中心に流行していることがわかります。 ■感染経路は咳やくしゃみなどの飛沫 伝染性紅斑は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスに感染することにより発症する感染症です。咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染が主な感染経路とされています。