流行中の「リンゴ病」は子どもの病気? 30歳で感染・発症の女性医師「診断難しい」 山本佳奈医師
実は、私も30歳の時に伝染性紅斑を発症しました。いつからか、軟便や頭痛、倦怠感が続き、時には喉の痛みに加えて全身の関節がとても痛く、あまりの辛さに一日中寝込んでしまう日もありました。これらの症状を医師である上司に何度か相談するも、「疲れなんじゃないか」「ウイルス性の風邪かもね」などと言われるだけ。確かに、疲れがなかったわけでもなく、寒くなる時期だったこともあり、「体力が落ちて風邪をもらっちゃったのかもしれない」なんて納得し、なんとかして治そうと、なるべく休みの日は寝るようにして過ごしていたのでした。 そんな症状が1カ月ほど続いたある日、朝起きて鏡をみると、なんと両頬がリンゴのように真っ赤になっているではありませんか。「ああ、リンゴ病だったのね……」その時初めて、今までの症状や経過から合点がいったのでした。 ■インフルエンザに似た症状も 伝染性紅斑の症状は、リンゴのような赤い頬だけではありません。一般的には、頬に発疹が出現する7~10日くらい前に、発熱、鼻づまり、頭痛、吐き気、下痢などの感冒様症状や微熱といった前駆症状が現れます。こうしたインフルエンザに似たような症状が、5日間ほど続きます。実は、この時期にウイルスが血流に侵入し、全身に広がるウイルス血症をおこしており、ウイルスの排泄量が最も多くなると言われています。 その後、頬に境界鮮明な紅斑(リンゴのような頬)が現れ、数日後には、体幹や四肢にも紅斑(網目状・レ-ス状・環状などと表現される発疹)が出現します。頬のリンゴのような紅斑は1日から4日で消失し、体幹や四肢の紅斑も1週間程度であとを残さず消えることが一般的ですが、なかには長引くことや、一度消失した発疹が短期間のうちに再び出現することも報告されています。なお、発疹 が現れたときにはウイルス血症は終息しており、ウイルス の排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失しているとされています。 私の場合も、熱は出ないものの、喉の強い痛みに加えて、インフルエンザにかかった時のような、全身の倦怠感や関節痛がだらだらと続きました。便も、軟便の状態がずっと続き、持病である偏頭痛とは違う、なんとなく締め付けられているような頭痛が続いたのでした。それらの症状が治ったと思ったら、頬が真っ赤になりましたが、それも数日で消えてしまい、すっかり完治したのでした。