日銀・黒田総裁会見10月29日(全文2)2%目標は変える必要なし
最悪の状況を回避できれば
それから企業業績は毎日のように出ておりますけれども、ご案内のように外食、宿泊、観光。それからそれをサポートする鉄道とか航空とか、そういったところはかなり大きな影響を受けているわけですが、他方でIT関係とか、それから宅配とか、巣ごもり消費に関係するところは売り上げも利益も伸びてまして、やはりこのIMFが言っている、unevenっていうんですか。ばらつきがあるっていうか、一概に大企業についても中小企業についても、悪化してるっていうことは必ずしも言えないと。 ただ対面サービスの部分は、夏のときに一時回復が止まってましたけども、また9月以降、緩やかに回復はしていますけども、またレベルとしてはコロナウイルス感染症が始まる前のレベルにはかなり遠いわけですね。ですから対面サービス面は引き続き、厳しい状況がまだ続いてますけれども、そういった面も含めて少しずつ持ち直してきているということ自体は言えると思いますし、感染拡大防止と経済活動の両立を図るという、日本だけでなくて各国皆そういうことを図っているわけですけども、そういうことの中で、企業業績についても最悪の状況は回避できればなというふうに思っております。 日本銀行としてはもちろん、引き続き三本柱のことをしっかりやって、さらに必要があればそれぞれの要素についても、緩和措置を拡大することは十分可能だというふうに思っております。
2%目標はどういう性格のものか
朝日新聞:朝日新聞の原です。2%インフレ目標について、これが今、日銀にとってどういう性格のものなのかを確認させていただきたいと思います。そもそも総裁就任当初、2%のインフレ目標というのは2年で実現すると。あらゆる手を使って実現するとおっしゃっていたわけですけれども、結果としては安倍政権の間には実現できませんでした。そして今日の展望レポートでも明らかなように、コロナショックがあるとはいえ、結局10年掛けてもできないという見通しです。 そうすると今現在、この2%インフレ目標というのはどういう性格のものなのかと。当初のとおりたまたま2年を目標にしていたけれども、経済的事情があって後ずれしているだけで、今もってあらゆる手を使って早期に実現しなければいけないものなのか、それとも中長期的な目標として無理をせず、そのときの経済情勢に合わせて緩やかに達成を目指すという目標になっているのか。それについて今現在、この2%インフレ目標、日銀にとってどういう性格なのかを確認させてください。それともし内容、その性格が変わっているとすれば、それがいつから変わったのかということを確認させていただけますか。 黒田:2013年の4月に量的・質的金融緩和を導入した際は、同年の1月に共同声明っていう形で政府と日本銀行が、いわば役割分担という形で日本銀行は2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現すべく、金融緩和をするということで、それに応じて、2013年の4月に2年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現しようということで、大規模な量的・質的金融緩和を導入したわけであります。 ただその後、いろいろな事情から原油価格の動きとかその他もありますけれども、2年程度で実現するということは難しくなったっていうことは認めておりますけれども、その後も常に2013年1月の共同声明に沿って、これは日本銀行としてももう1月に金融政策決定会合で決めたことですけども、できるだけ早期に2%の物価安定目標を実現するという目標は依然として維持しておりますし、現在もそれを維持しており、それ自体は変える必要がないと思っていますし、適切なものであるというふうに考えております。