日銀・黒田総裁会見10月29日(全文2)2%目標は変える必要なし
インフレ圧力に対応しにくいことはない
ですから、そういった面も考えても、あまり今回のコロナウイルス感染症の拡大等によって、何かインフレが起こるとか、インフレが加速されるとか、そういったことはあまり考える必要はないだろうというのが今のエコノミストたちのコンセンサスだと思います。ただ、20世紀初めのスパニッシュフルー以来の、100年ぶりぐらいの世界的なパンデミックですので、あまり予断を持つことなく、十分経済・物価動向は注視していきたいというふうに思っておりますが、先ほど、最初に申し上げたように、マイナス金利だから何かインフレ圧力に対応しにくいということはないということは申し上げられます。
感染再拡大への警戒感はどの程度あるか
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。ヨーロッパでは感染が本当にまた大きく拡大している状況ですけども、日本でも北海道では感染が増加して、警戒ステージを引き上げるような状況になってきています。日本でも感染再拡大をする可能性についての、その警戒感というのをどのくらいお持ちでしょうか。今回、展望レポートの中で広範な公衆衛生上の措置が再び導入されるような大規模な再拡大はないと想定している。けれども、その点には大きな不確実性があるとわざわざ書き込んでいらっしゃるというところでも、かなり警戒感をお持ちなのかなというふうに感じましたので、その点について1点教えてください。 そしてもう1点ですけれども、今、中小企業だけではなくて、大企業の業績というのも相当悪化をしてきていますよね。さらに不確実性、先行きの不透明感というのはまだまだ続いている中で、今、日銀にできるサポートというのはなんなのか。今のサポート状況をこれからさらに、どのように強化する余地があるのか。その2点について教えてください。 黒田:第1点につきましては、確かに不確実性が高いということで、警戒をしているということは事実であります。ただ、メインシナリオとしては広範な公衆衛生措置を伴うような感染の大幅な拡大と、再拡大ということはないのではないかというふうに今は考えております。 ご案内のとおり、ヨーロッパでかなり急速に大幅に感染が拡大しているわけですけれども、また他方で欧州でも重症者の数はそれほど増えてないとか、死者はあんまり増えてないとか、いろんな状況がありますので。それから先ほど申し上げたように、欧州の一部の国では公衆衛生上の措置を再導入してますけれども、春にやったような全面的な外出禁止というか、抑制というか、店舗の閉鎖とか、そういう形じゃなくてある程度地域とか場所のターゲットを絞ってやっておりますので、そういう意味でも警戒すべきことではあるけれども、経済的な活動と感染拡大等の防止を両立させながらやっていくということを考えていかなければならないし、そういう方向に欧州も含めて、先進国は向かっているのではないかというふうに思っております。