第165回芥川賞受賞会見(全文)石沢麻依さん「どう言葉をつくり上げていくか」
何か言い残したことがあれば
司会:ありがとうございました。石沢さん、ありがとうございました。遠いドイツから記者会見、応じていただき、ありがとうございます。今、質疑を終えられて、最初に戸惑いの気持ちもあるというふうにおっしゃってられましたけども、最後に質疑を終えられて何か言い残したこと、おっしゃりたいことがありましたら、いかが、お願いできましょうか。 石沢:まずは今回、私が本当にこのような賞をいただけたことを本当に感謝しております。ですが、たぶん私が今回、震災というものを書いたことで、じゃあこれが震災文学として、じゃあその代表作となるかというとそうではなく、たぶん、私はあくまで変な言い方をしますと、ある記憶であり、ある体験を巡る惑星のような、1つの惑星のようなものだというふうに、自分の作品を考えております。 ですから、ここで、たぶんこのあとも、どうやってこの記憶をさらに、記憶を引き続いていくか、これはおそらく寺田寅彦とか、あとは内田百けん(門構えに月)とか、そういう方が、かつての作家たちも、そういうふうに震災に対する記憶として声を投げて、そしてその中で、たくさん、ほかの作家の方たちも投げてきて、で、私たちもその中の1つの声として投げることができた。たぶんその声をまたこれからどんどん発展させていって、そして記憶していくことにつながればいいというふうに、それが、そういうふうに考えております。以上です。 司会:ありがとうございました。 石沢:本当に今日はありがとうございました。 司会:これにて記者会見を終了させていただきます。皆さん、石沢さんに温かい拍手を。石沢さん、ありがとうございました。記者の皆さん。 石沢:ありがとうございました。 司会:これにて第165回芥川賞・直木賞の受賞者記者会見を終了させていただきます。長時間ありがとうございました。 (完)【書き起こし】第165回芥川賞受賞会見