直木賞の澤田瞳子さん、5回目の候補で受賞「まだ、ぽかんとしている」
第165回直木賞は14日、佐藤究(さとう・きわむ)さん(43)の「テスカトリポカ」と、澤田瞳子(さわだ・とうこ)さん(43)の「星落ちて、なお」に決まった。同日夜の記者会見で澤田さんは、5回目のノミネートでの受賞に「まだ、なんかぽかんとしております」と戸惑いながら喜びを語った。 【動画】第165回芥川賞に石沢麻依さんと李琴峰さん、直木賞は佐藤究さんと澤田瞳子さん
澤田瞳子さんは1977(昭和52)年、京都府生まれ。同志社大学大学院文学研究科博士課程前期修了。奈良時代仏教制度史、正倉院文書の研究を経て、2010年『孤鷹の天』でデビューした。 直木賞には5回目のノミネートでの受賞。「落選が4回続いて、『残念でした』と言われるのに慣れていますので、今までと違う状況に置かれて戸惑っているのが正直な気持ち」とのこと。 親しかった今は亡き作家の葉室麟(はむろ・りん)さんも、同じく5回目で受賞した。葉室さんからはよく「どんな時も書け。生活をすべて投げ入れろ」と言われたという。「私は遊ぶ時は遊ぶ人ですが、書く姿勢は学んでいきたい」 受賞作では、不世出の絵師を父に持つ娘の一代記を描いた。「我々の生きている時間は長い歴史の中で見れば一瞬ですが、いろいろな人が生きて、日々のことで悩み、苦しんでいたことを少しでも拾い上げられればいいなと思います」 今後も、「これまでと同じように書き続けるのみだと思います。受賞したからどうではなくて、書き続けるしかないかなと思うので、このままのスタンスで書いていければ」と淡々と語った。 (取材・文:具志堅浩二)