女子フィギュア五輪出場枠が「2」に減った深刻な影響とは?
ヘルシンキで開催されたフィギュアの世界選手権の女子シングルスで、日本は来年2月の平昌五輪の出場権の「3枠」を取れず「2枠」に終わった。「3枠」を獲得するには、上位2選手の順位の合計が13位以内でなければならなかった。SP15位だった三原舞依(17、神戸ポートアイランドクラブ)がフリーで自己ベストの138.29点をマークして5位に浮上したが、本郷理華(20、邦和スポーツランド)が計169.83点で16位、SP9位だった樋口新葉(16、東京・日本橋女学館)も計188.05点で11位と順位を落として上位2人の計順位が「16」となり、2006年のトリノ五輪から3大会連続で守っていた「3枠」を確保することができなかった。 まだ平昌五輪の代表選手の選考方法が発表されていないが、代表枠を巡る国内競争が激化することは間違いない。2枠になったことで「かえって競争を勝ち抜いた本当に強い2人を平昌五輪に送りだすことができるのではないか」という見方もあるが、3枠から2枠に減ったことで重大な影響を及ぼすものがある。 ひとつは五輪本番でのチームワークの欠如だ。 元全日本2位で現在は後身の指導にあたっている中庭健介氏が指摘する。 「今回はエースの宮原選手が欠場したことで、三原選手、樋口選手という世界選手権初経験の2人と、急に呼ばれたことで準備もなく心身共に余裕がない本郷選手という組み合わせになりました。もし宮原選手がいれば、初経験組は、心理的には“お姉さん”の宮原選手に頼ることができ、風を防ぐ壁となり、プレッシャーをそこまで感じることなく、思い切った演技ができたでしょう。日本は、そういう年齢や経験のバランスのとれた3人で挑むチームの意識が全員の成績向上につながってきたのです。 来年の五輪の出場枠が、2枠ということになり、国内の選考争いが厳しくなり、本当に強い人しか出場できないようになりますが、その一方でチームの力で勝つということが難しくなるような気がします」 トリノ五輪では、初出場となった安藤美姫が18歳、2大会連続2回目出場の村主章枝が25歳、4大会ぶり2回目の出場の荒川静香が24歳という布陣で、荒川が金メダルを獲得。村主が4位、安藤が12位だった。 続くバンクーバー五輪では、その安藤が2大会連続出場となり、19歳の浅田真央が初代表、そして24歳の鈴木明子も初代表という年齢的にバランスのとれた組み合わせで挑み、浅田が銀メダル、安藤が5位、鈴木が8位という成績だった。 前大会のソチ五輪でも、23歳の浅田と28歳の鈴木が連続出場を果たして、19歳の村上佳菜子が初出場というメンバー構成。メダルはなかったが、浅田がフリーの感動演技で6位、鈴木が8位、村上が12位だった。 3枠だと経験者と初出場者の組み合わせが生まれ心理的な負担は軽減されていたという。