女子フィギュア五輪出場枠が「2」に減った深刻な影響とは?
そして、さらに深刻な問題が5年後の2022年北京冬季五輪への不安だ。 「3枠があれば、平昌五輪でメダルが取れる可能性が低くとも、次の北京五輪でピークを迎える若手選手が3人目として選ばれ、価値のある経験を得る可能性がありました。フィギュアは採点競技ですから、ジャッジのベースとなる評価を得ておくという利点もあります。でも2枠となれば、そういう選考の余裕はなくなります。日本フィギュア界の長期ビジョンで考えれば、その点が残念です」と中庭氏。 3枠あった過去の3大会では、トリノからバンクーバーへは安藤、バンクーバーからソチへは浅田、鈴木と、必ず2大会に渡って出場する選手が生まれ、長期ビジョンを描くことができていた。しかし2枠となると、そういう“若手枠”“ベテラン枠”の余裕はなくなる。 2枠を巡っては、今回、股関節の疲労骨折で世界選手権を欠場した“本命”の宮原知子(18、関大)に、3大会連続出場を目指すバンクーバー銀メダリストの浅田真央(26、中京大)、今回の世界選手権で躍進した三原やポテンシャルのある樋口らに加えて、ジュニア世代から世界ジュニアで銀メダルを獲得して天才と評判の本田真凛(15、関大高)、同大会銅メダルの坂本花織(15、神戸FSC)がシニア転向してくる。 過酷な国内競争を勝ち抜く2人が平昌五輪の表彰台に上がれば、1枠を失ったネガティブな思考もポジティブな方向へと変わるのだろうが……。 世界選手権で優勝したロシアの絶対女王、 エフゲーニャ・メドベージェワ(17)を筆頭に今大会では上位3人が210点を超えるという高度なレベルへと進化している女子フィギュア界に誰が立ち向かうのだろうか。