岸田首相が会見 物価高対策を発表(全文1)事業規模13兆円の総合緊急対策
第2の柱はエネルギー、原材料、食料等の安定供給対策
新制度では基準価格を当面168円に引き下げるとともに、燃料油価格のさらなる高騰にも対応できるよう補填の上限を35円に引き上げます。これによって、仮にガソリン価格が200円を超える事態になっても、市中のガソリンスタンドでの価格は当面168円程度の水準に抑制します。さらに、万一、国際原油市場価格が、例えば1バレル150ドルといった前例のない水準まで高騰し、35円を超えて補填が必要になった場合にも、価格上昇分の2分の1を支援して国内価格の上昇を抑制いたします。そして対象油種は、ガソリン、軽油、重油、灯油に加えて、航空機燃料も対象といたします。さらにはタクシー用LPガスにも同様に支援をいたします。このほか運輸、農林漁業、生活衛生関係営業など、影響が大きい業種への支援を進めます。 第2の柱は、エネルギー、原材料、食料等の安定供給対策です。省エネ住宅の支援など、省エネ・クリーンエネルギー利用をいっそう推進し、極力、輸入資源に頼らないエネルギー構造に転換をいたします。事態の長期化を見据え、ロシアやウクライナに輸入の多くを頼っていた半導体原料やパラジウムなどの産業用原材料の調達の多様化を進めます。産油国への原油増産の働き掛け、エネルギー調達の多角化に加え、エネルギー源の多様化に向けて、再エネの最大限の導入と原子力の活用を進めていくこともエネルギー市場の安定化、低廉かつ安定的なエネルギー供給確保のために極めて大切です。関係諸国とも連携しながら全力を尽くします。
国産米や米粉、国産小麦への切り換えを支援
食料などの価格上昇は家計にとって重大な問題です。輸入小麦については政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡しています。ウクライナ情勢で国際価格は1割以上、足元で上昇していますが、9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置きます。併せて輸入小麦から、国産の米や米粉、国産小麦への切り換えを支援いたします。 農業については肥料原料の安定的な調達を支援するほか、配合飼料のセーフティネット基金の積み増しなどにより輸入価格高騰の経営への影響を緩和していきます。漁業については、水産加工業に対し、カニ、ウニ、そしてイクラ等のロシア産水産物等に代わる原材料の調達を支援するほか、ロシアとの間の漁業協定に基づく操業に不確実性が高まっていることを踏まえ、関係漁業者への支援を機動的に行います。さらに木材についてロシアからの輸入を一部禁止したことを踏まえ、国産材の活用を支援いたします。 第3の柱は中小企業支援です。引き続きエネルギーコスト、原材料費、労務費等の上昇分を適切に価格に転嫁できるよう取引の適正化を進めます。公共調達や補助金における優遇措置を設け、賃上げを推進します。政府系金融機関によるセーフティネット貸付の金利をさらに引き下げるとともに、実質無利子・無担保融資を9月末まで延長し、資金繰りに万全を期します。また、事業再構築補助金に特別枠を創設し、原油価格や物価高騰の中で新規事業に挑戦する企業を後押ししてまいります。 第4の柱は、コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援です。緊急小口資金等の特例貸付など、生活困窮者支援策の申請期限を延長するとともに、低所得の子育て世帯に対し、子供1人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給し、生活を守るセーフティネットを強化いたします。コロナ禍の影響の長期化に伴い、孤独、孤立に悩む方々をNPO等の活動を通じて、きめ細やかに支援をいたします。 地方創生臨時交付金を大胆に拡充し、1兆円の原油価格・物価高騰に対応した枠を新設します。これにより、国が行う支援策に加え、地方公共団体において、地域の実情に応じて生活困窮者の方々の生活支援や、農林水産業者や中小企業者の支援をはじめ、電気・ガス料金などの物価高騰を受けた生活者や事業者の負担の軽減をきめ細かく行えるようにします。また、学校給食費の負担軽減に向けた自治体、教育委員会の判断、取り組みをしっかり後押しいたします。