”格闘技聖地”撤退も…新型コロナ禍に「RIZIN」は生き残れるか?
総合格闘技イベントの「RIZIN」が9、10日の2日間、横浜の「ぴあアリーナMM」のこけら落としイベントとして開催された。最大1万2141人収容可能の同アリーナで入場者を上限5000人に制限して行われたが、チケットはソールドアウトとはいかず、初日は2805人、2日目は4410人の動員だった。榊原信行CEOは、ライト層のファンが、感染拡大が収まらない新型コロナウイルスを懸念して来場を控えたことを原因と分析したが、外国人選手の入国に規制がかかっているため、国内選手同士のカードしか組めず、人気選手である那須川天心、朝倉未来の2枚看板の欠場も響いたと見られる。今回は活動継続支援のクラウドファンディングで約7000万円の資金が集まったが、基本的にはチケットセールスを軸にしたビジネススタイルだけに政府によるイベントの人数制限が緩和されない限り厳しい運営が見込まれ、年内に予定している大会では”格闘技術の聖地”さいたまスーパーアリーナからの撤退も検討されている。
宮迫博之がリングアナのサプライズ
格闘技ファンが待ちに待ったイベントは、闇営業問題で芸能界を“追放“された「雨上がり決死隊」の宮迫博之のリングアナウンスというサプライズから始まった。 迫力のある声でオープニングマッチの山本アーセン、加藤ケンジを紹介したのだ。 場内はざわついた。 ちなみに宮迫を起用したのは榊原CEO。宮迫は現在、ユーチューバーとして新しいチャレンジをしているが、その制作チームと「何か企画ができないか」と協議する中で浮かんだアイデアで、「芸人ではなくリングアナとして真摯に向き合ってできますか?」とオファーし宮迫も意欲を示して実現に至ったという。 「声もいいし、うまかった。さすがだなと思った。お互いにとって、ウイン、ウインになればと言うチャレンジ」 榊原CEOは今後も宮迫リングアナを起用していく考えだ。 会場は厳戒態勢が敷かれていた。飛沫が飛ばないように仕切られた入場口では、検温とマスクの着用をチェック。チケットのもぎり、半券による感染リスクを避けるため、席を識別するためのリストバンドが手渡されていた。 感染者が出た場合に追跡を可能にするため、連絡先のWEB登録、現場での記入提出を義務づけ、厚生労働省が作った新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のインストールを推奨した。 場内では、席と席の間隔があけられ飲み物以外の飲食販売も禁止。実際には休憩時間があったが、トイレなどでの密を避けるため、進行上は、休憩時間は無しとアナウンスされ試合後も混雑を避けるため、規制退場が導入された。また大声を出さないなどの観戦マナーも呼びかけられた。対応スタッフが増員され経費は増しているのに政府方針により観客動員は上限5000人に制限されていた。 1日目は、その上限に満たない2805人のファンしか集まらなかった。会場はガラガラだった。榊原CEOも、「早い段階でソールドアウトになると思っていたが、イメージよりは埋まっていない。物足りない」とショックを隠せなかった。