”格闘技聖地”撤退も…新型コロナ禍に「RIZIN」は生き残れるか?
初日は山本アーセンのショッキングな完敗から始まり、江幡塁が亡くなった親友の三浦春馬に勝利を捧げ、浜崎朱加、浅倉カンナの女子総合のトップ選手も力の差を見せつけた。メインでは、矢地祐介がホベルト・サトシ・ソウザに秒殺されるなど、9試合中8試合がKO、TKO、1本勝ちで終わる試合内容で、熱気のあふれる大会になったが、ライト層のファンを動員するまでのインパクトのあるカードはなかった。 2日目は、ほぼ上限に近い4410人になったが、来場者が増えた要因は、メインの朝倉海と扇久保博正のRIZINバンタム級のタイトルマッチのバリューだと考えられる。ユーチューバーとしても約59万7000人の登録者を持つ朝倉海と、約138万人の登録者を持つ兄の朝倉未来の知名度が集めた動員だろう。 榊原CEOは、2日間興行を「見切り発車でやった2大会だが、やってよかった。2日間で合格点だと思う。コロナ禍の中で及第点だと思っている。クラファンもいただけ、大きな励みとなり血肉になった。経済的に追い込まれた中で一助になった。ファンの方々には、心から感謝を伝えたい」と総括した。 2日間共にチケットがソールドアウトとならなかった原因について榊原CEOは「ソールドアウトできると信じていたが券売に苦戦した。5000人の最大を作れなかった。コアな格闘技ファンの方に来ていただいたが、カジュアルなライトユーザーの方々が、コロナの影響があり、今回は少し(イベント参加は)控えようとなったと思う。スポンサー筋でも、これまで欠席されたことのない人が“今回はやめとく“が結構多かった」と分析した。 新型コロナの感染拡大に加え、マッチメイクに苦労したことも影響している。 動員力のある那須川天心が7月のRISEの大会で拳を痛め、朝倉未来も肘の怪我で欠場したことで、RIZINの顔を欠いた。しかも、入国制限の関係で外国人選手を一人も招聘できなかった。もしK-1から電撃移籍した皇治と天心の対決が、ここで実現していれば、地上波放送もつきチケット売り上げにつながったのかもしれない。 今回、チケットの価格は最低の4階B自由席でも1万円と通常よりも高く設定された。高額のVIP指定が10万円、SRS指定が3万円である。客単価平均を2万5000円と推測して計算すると2日間でチケットの売り上げは、約1億8000万円。ここにクラウドファンディングで集めた約7000万円に、スポンサーフィーやスカパーの放映料、グッズ売り上げなどをプラスすると3億円弱くらいの売り上げになると考えられるが、1大会に換算すると約1億5000万円。通常の大箱開催では、一大会で最低3億円の売り上げがあるとされているので、やはり売り上げは半減である。しかも、今回は、放映料やスポンサー収入にプラス効果のある地上波放送がなかった。 ここからファイトマネー、会場費、新型コロナ対策に必要な人件費や消毒薬などの経費、そしてRIZINを象徴するような音響、照明などの舞台設定にかかる必要費用を差し引くと、やはり収容人数に制限をかけられている状況では厳しい運営となる。