”格闘技聖地”撤退も…新型コロナ禍に「RIZIN」は生き残れるか?
榊原CEOは、今後のRIZINのあり方について「2大会を見て判断したい」と語っていたが、大会終了後に、今回の形で継続していく考えを表明した。 「これから(イベント人数制限が)開放にむかっていくとは思えない。秋から冬にもっと(新型コロナが)流行し、今の5000人がさらに後退することもあるだろう。だが、観客が一人も入っていない状況で、18試合でこれだけの結果を引き出せた自信はない。やはりRIZINはライブイベント。選手が(勝負に)いくか、いかないか、はファンのエネルギーに背中を押されている。格闘技が生きていく新しい事業構造は、2ページ目として考えるとして、たとえ5000人でも、秋は、このスタイルでやりたいと強く思っている」 本来ならば、米国のUFCやボクシングビジネスのようにPPV(有料放送)に重心を置く、新しい興行構造にシフトしたいのだろうが、日本ではまだユーザーに抵抗感がある。新型コロナと共生するための新しいビジネススタイルの模索は続くが、まだ大胆な切り替えに至るまでのアイデアがないのが実情なのだ。 年内の大会予定は、9月下旬と年末の2大会である。どちらも”格闘技の殿堂”さいたまスーパーアリーナを仮押さえしてあるが、撤退の可能性があるという。 「収容人数が増えるほど 会場の基本使用料が高くなる。いつ制限が解除されるか。もし5000人の制限のままであれば、1万人収容のぴあアリーナMMのようなキャパでやることがベストになる。ここは状況を見ながら考えたい」と榊原CEO。 当初の政府方針では8月1日から会場の収容人数の半分までに緩和される予定だったが、第二波の襲来により見送りになった。 もし制限が収容人数の半分に緩和されれば、さいたまスーパーアリーナの「格闘技バージョン」では、2万2500人の収容が可能のため、約1万1000人のファンにチケットを売ることができる。しかし、上限が5000人のままなら、さいたまスーパーアリーナを使用することは、使用料を考えると割が合わなくなる。会場の問題は、新型コロナの感染拡大状況と政府の方針に左右されることになる。 そして、もうひとつ解決しなければならないのがマッチメイクの問題だ。 榊原CEOは、朝倉未来のさらなるスター化路線を念頭に置き、RIZINフェザー級王座の新設構想を明らかにした。年末には怪我から復活した堀口恭司対朝倉海の再戦をRIZINバンタム級タイトルマッチとして組めるし、天心対皇治の話題のカードも9月か年末には組める。ただライト層のファンを巻き込むには、一昨年の大晦日に招聘に成功したボクシングの無敗の元5階級王者、フロイド・メイウェザー・ジュニアのような話題性のあるファイターの登場も必要になってくるだろう。外国人の入国制限が緩和されることも必要条件になってくる。RIZINは、新型コロナとの共生を宣言したが、世界中で感染が収束し、日常が戻ってこなければ、待ち受ける道は険しい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)