尾身会長、首都圏の宣言延長方針は「適切」 リバウンド防止の準備強化求める
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は4日の参院予算委員会で、7日に期限を迎える首都圏の緊急事態宣言を政府が2週間程度延長する方針を明らかにしたことについて、「私個人としては、基本的にはその方向が適切だと思う」との見解を示した。 【国会中継】参院予算委 21年度予算案で基本的質疑(3月4日)
リバウンドの可能性「他の地域よりも高い」
日本維新の会の片山大介氏から、宣言延長方針の理由を問われた菅義偉(よしひで)首相は「1都3県は感染を抑え込むために重要な局面にある。病床のひっ迫などいまだ厳しい指標もあって、2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と述べ、専門家や関係者にも意見を聞いた上で最終的に判断するとした。 尾身会長も「感染状況は少しずつ改善しているが、千葉県などを中心に医療への負担軽減というものが、確かにステージ3にはなったが、しっかり改善が安定の方向にいくことが大事」との見方を示した。 さらに医療体制の負担と「同じくらい重要」として首都圏の特殊性も挙げた。人口密度が高く、人流も多い、さらに大都市圏ゆえの匿名性があるとして「リバウンドの可能性が他の地域よりも高いと思う」と指摘。感染の再拡大(リバウンド)に対する準備体制の強化が必要だとした。 宣言を延長した場合に行う対策としては、西村康稔(やすとし)経済再生担当相が、午後8時までの営業時間短縮の要請やテレワークのさらなる徹底を挙げた。特に時短要請については、罰則が新たに設けられたコロナ対策の特別措置法改正を踏まえて「いくつかの都県では要請の文書も出している」と明かし、法改正も活用してしっかり要請に応じてもらうことで感染を抑えていきたい考えを示した。 またリバウンド防止の観点から、▽高齢者施設の集中検査▽繁華街でのモニタリング検査、などの準備を進めて「再感染拡大の兆しをつかむ」と語った。 それに加え、尾身会長は「首都圏は東京を中心に見えにくいクラスターがあって、感染源が他の地域より分かりにくい」と指摘し、「モニタリング検査と同時に、どこに感染源があるか、そのための調査と検査を深堀りにやることが大事」だと積極的疫学調査の重要性を強調。延長期間を活用して「リバウンド防止体制の準備・強化をしていただければ」と政府に求めた。