6府県解除「無条件で賛成ではなかった」 政府諮問委で議論噴出、予定時間の2倍に―尾身氏
政府は26日夕、新型コロナ対策本部を開き、大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、福岡の6都府県について2月末で緊急事態宣言を解除することを決定した。会議後、政府コロナ分科会会長で、政府諮問委員会の座長も務める尾身茂氏は記者会見し、「解除については端的に申し上げると、もろ手を挙げて、あるいは無条件で賛成ということではなかった。緊急事態宣言の期間を1週間前倒しにするということに対する懸念がかなり強く表明された」と述べた。 【会見動画】「宣言」先行解除 尾身会長「もろ手を挙げて賛成ではなかった」
尾身氏によると、諮問委員会ではリバウンド(感染の再拡大)を何とか抑えようというのは文字通り「全員のコンセンサス」だった。一方で、大阪など6府県の緊急事態宣言解除については意見が割れたという。経済を優先するメンバーからは解除に賛成する声が出た半面、尾身氏自身を含む「かなりたくさん」のメンバーからは変異ウイルスの流行拡大などへの危機感から、解除に懸念を示す意見が出た。 当初、諮問委員会は1時間の予定だったが、「予定時間を2倍以上かかったのはこういう議論があった(から)」だという。 結果的には、6府県を先行解除に当たり、政府・専門家が一体感を持ってメッセージを発信することや、積極的疫学調査の実施、変異株への対応に注力すること、など“6つの条件”を政府に求め、「率直な言葉を使えば、いわゆる条件付き解除」(尾身氏)になったと語った。
諮問委員会が示した6つの条件
諮問委員会が政府に提示した6つの条件は以下の通り。 (1)若者をはじめとした地域のみなさんが必要な感染防止策を継続していただくため、一体感のあるメッセージを国・専門家とともに発信すること (2)感染再拡大の予兆を早期に探知するため、感染リスクが高いと思われる集団・場所を中心に無症状者に焦点を当てた検査を行うこと (3)隠れた感染源が存在すると考えられる地域では「深堀積極的疫学調査」を実施すること (4)変異株についての監視体制を強化すること (5)感染拡大が懸念される場合にはまん延防止等重点措置の活用も含め、躊躇なく迅速に必要な対策を行うこと (6)今後の感染拡大に備え、引き続き病床等の確保に万全を期し、今回の経験も踏まえた医療提供体制・公衆衛生体制の強化を行うこと