押し込み強盗、ストーカー、災害避難時の性被害や窃盗…、具体的な10の事例から防犯対策を練る。
魔がさすという言葉があるように、窮地に陥ればつい悪い心が芽生えてしまうのも人間の真理。平時に災害時に、身に降りかかってくる人災はどう対処すべきか? 10のケースから検証する!
防犯や災害に対する危機管理意識を高めるには日頃からニュースをよくチェックしてほしい、と語るのは防犯アナリストの桜井礼子さんだ。 「自分には関係ない、怖いから避ける、ではなく、自分ごと化して見る習慣をつけると、知識もアップデートされていざという時の行動力につながります」 そして、普段は桜井さん自身も人についての性善説を否定するものではないが、それでもいざという時はーー。 「困った時に悪事に手を出してしまうのも、悲しいかな人間の一面です。災害時は人に頼らなければなりませんが、そんな時こそ冷静に人を見ることも大切。自衛の手段になります」
〈 押し込み強盗 〉ドアを開けた瞬間を犯人は狙っている。
ある日、外出先からちょうど家に帰ってきたタイミングで宅配業者が荷物を携えてやってきた。ドアを開けると段ボール箱にはいつもの見慣れた送り状が貼り付けてあり、そこには確かに自分の名前と住所も記されていた。荷物を受け取ろうとドア越しに体を乗り出すと、突然、訪問者の態度は豹変。ドアの隙間から力任せに体を突き飛ばされ、次の瞬間、マスクをした複数の男が家に押し入ってきた。 【対策】 さまざまな手口でドアを開けさせて家に押し入り、金品を奪う犯罪を押し込み強盗と呼ぶ。 「隣に引っ越してきました、などとドアを開けさせる手口はいろいろです。そして犯人は入りやすそうな家を下調べしていることが多いので、日頃からそういう隙を作らないことも大切だと思います」(桜井さん) 例えば、誰もいない家に帰る場合でも、あえて玄関口で“ただいま!”と大きな声を出すようにすれば、中にほかの人間がいると勘違いした犯人は気持ちをくじかれる。そして宅配便を装ってきた、前掲の事例の犯行についてはーー。 「インターホンがあるなら、どこの誰から何が届いているのか、まずそこまでをきっちり確認することです。一戸建てに住んでいる人は、その上で家の前に宅配ボックスを設置しましょう」 インターホンがない場合はどうしたらいいか? 「直接の対面はなるべく避けたいので、ドアを開ける時でもドアチェーンをかけたまま対応してください。もし荷物が必要なものと判断したら、そのままドアの前に置いておいてください、とお願いすれば済むことです」