押し込み強盗、ストーカー、災害避難時の性被害や窃盗…、具体的な10の事例から防犯対策を練る。
〈 窃盗 〉近頃、留守宅を狙って、盗まれるモノとは?
旅行から久しぶりに家に戻ると、部屋の空気がムッと澱んでいた。窓を開け放ち、風を通した後に、エアコンをつけようとしたら、今度はなぜかうんともすんともいわない。故障かと思い夫に助けを求めると、庭から夫の慌てる声がした。「室外機がなくなってる!」 【対策】 近頃エアコンの室外機を狙った窃盗事件が多発しているらしい。なぜそんなものが盗まれてしまうのか? 「最近は金属の値段が上がっていて、銅やアルミニウムなどが廃材の売買市場で高値で取り引きされているそうです。それで数万円単位で荒稼ぎをする人もいると聞きます」 対策として考えられるのはまずは室外機の取り付けの見直しだ。 「意外に簡単なボルトで架台に設置されているので、壁に金属で固定したりする方法が考えられますが……」 効果的なのはAIカメラの導入だ。 「室外機だけでなく、家の周りを見張ることが可能です。それと庭にセンサーライトと防犯砂利を敷き詰めるのも手でしょう。踏むと大きな音が鳴るので、家の高窓の下などに敷くと、格好の対策になると思います」
〈 送り付け詐欺 〉買った覚えのない商品が家に届いたら。
大学生の娘宛てに宅配便の箱が届いた。しかも代引き(代金引換)で6000円ほどかかるのだという。近頃よくネットショップで買い物をしているらしい娘に代わって、仕方なく立て替えた。ところが、学校から帰ってきた娘にその宅配物を渡そうとすると、まったく身に覚えがないという。不審に思って箱を開けてみると、中からざら紙に包まれた石ころが出てきた。 【対策】 注文していない商品を勝手に送り付けてきて、代金を一方的に請求する行為を送り付け詐欺と呼ぶ。 「宅配の荷物はその素性をしっかり確かめてから、と先ほど説明しましたが、この場合は自分ではなく家族のもので、しかも品代の支払いを早く済ませてしまいたいという意識が働き、つい言われるままに払ってしまうケースが多い」 また、請求される金額も数千円、という支払いやすい金額で設定されることが多いのもこの手口の特徴だ。対策としてどんなことが考えられるか? 「家族のために、という気持ちでつい払ってしまいますので、ネットショップで誰が何を買ったのか、ということを家族間で事前に共有できるといいと思います」 例えば、ボードやカレンダーに宅配で届くものの一覧を書く、スマホの予定アプリで可視化するのもいい。そして、 「おかしいなと思う支払いが生じた時は、消費者センターに相談しましょう」