「なんで言ってやれなかったんだろう」天龍源一郎74歳が語る亡き妻への後悔 #老いる社会
車いす姿のオレを見てくれ
晩年に至るまで、若いレスラーと戦ってたんだけど、戦う以上、ナメられちゃイヤだと思うから、必死になってやっちゃうしね。キャリアを積めば積むほど、若いヤツが遠慮してると思われるのもイヤだったから、余計にこっちから激しくいくしね。 考えたらずっとやってることは一緒なんです。こっちもキツくいって、相手もキツく返してくる。それがオレの本望だったんですよ。昔から。そんなプロレスばっかりやってきたから、体にこれだけダメージが来ちゃったんでしょうけどね。本当にね、下手なプロレスをやったなと思いますよ(笑)。もうちょっと器用なプロレスをしてればよかったんだろうけどね。 ただ、自分の性分的にそれはできなかったんだと思います。オレは見に来た客にウソをつかない。損をさせない。それが根本にあるんですよね。
プロレスってね、とやかく言われたりもします。だけど、じゃあ、これだけのことがやれるのかってものを常に見せる。その心意気でやっておかないと、ウソになるんじゃないか。常に正直でいるため、全力でやる。それはいつも曲げずにやってきたことです。 今はね、車いすでリングに上がってあいさつもしています。今の天龍源一郎は車いすに乗っている。それを見て、いろいろなことを思う人がいるかもしれないけど、そこでもウソをつきたくないから、車いすの姿を見てくれと。そして、そのまま何かを感じてくれればいい。 そう思ったのは、あのアントニオ猪木さんが車いすで過ごしているのを晩年見せていたんです。純粋に「この人はすごいなあ」って思いました。 やっぱりね、プロレスラーがその姿を見せるのって、度胸がいるんですよ。覚悟がいるんです。でも、それをやってたからね。だったら、自分も覚悟を見せよう。そう思ったんです。プロレスって、それだけ簡単なものじゃないんだというメッセージにもなるだろうしね。だから、オレは全てをさらけ出すつもりでいるんです。