3代目となるホンダ新型「フリード」公道試乗、変わらない本質と進化した点とは?販売好調の理由に迫る
ただ、都市高速の本線合流時など、大きくアクセルを開けた場合の加速フィールにはもうひと伸び欲しいと感じた。速度のノリは十分だし、有段ギアのように走行状況に応じてエンジン回転数が上下する「リニアシフトコントロール」が機能するためリズミカルな加速が楽しめる。が、体感的には線の細さを感じた。同じシステム構成の「フィットe:HEV BASIC/4WD」(車両重量1260kg)では終始、力強い走りが体感できたことからも約24%におよぶ車両重量差が利いているのか……。
試乗後、開発者にそのあたりを伺ってみた。「フリードではドライバーの意を汲んだ走行フィールを目指しました。具体的には、アクセルペダルの踏み込み量に対して忠実な加速力を生み出す設定です」という。たしかに時間あたりの加速度を示す曲線で確認するとアクセルをグッと踏み込んだ際、動き出しで上向いた体感加速力が一度落ち着くと、その後はじんわり落ち込んでいく設定なので、実際に速度はグングン伸びていても大人しい走りに感じられたようだ。
■圧倒的な視界の広さ せまい市街地で実感したのは、小まわり性能と視界の広さだ。とくにひらけた視界は、現ホンダのラインナップで1位、2位を争うほどで、とりわけ前方視界は格段に広く、運転がとてもしやすい。さらに運転席から把握できる車体前方と側方の見切りも良好でせまい道でもストレスを感じなかった。ドアミラーとAピラー(フロントウインドを支える柱)との距離もとられているから死角がさらに少ない。これもいい。
少しだけ残念だったのは、インパネ下部の領域。いろんなスイッチが集中して配置されてせわしなく、ブラインド操作には慣れを必要とした点だ。液晶モニターの下にはシフトノブ、電動パーキングブレーキ&ブレーキホールドスイッチ、エアコン操作部、オーディオ操作部が並ぶが、広大な視界を得るためかせまい場所にそれぞれのスイッチがキッチリと収められている。 スイッチサイズは大きく単体での操作性も悪くないのだが、筆者はたびたび大きく下に目線を落として操作していた。物理スイッチをちゃんと残してくれたのはホンダの良心ながら、せっかく視界を広げても目線を下げる回数が増えてしまうのであれば、良さも半減。センターの液晶モニターサイズをひとまわり小さくして※3~5cm程度、各種スイッチ類の配置を上方へ移動させるだけでもずいぶんと印象は変わるのではないか。